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中国軍は、なぜステルス戦闘機J-31(殲31)とJ-20(殲20)を同時開発するのか?

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中国軍ステルス戦闘機

ステスル機はレーダーに探知されにくい。これはレーダー波をレーダーの方向ではなく、別の方向に反射したり、レーダー波をステルス機の機体自体が吸収するためだ。

しかし、レーダーを別の方向に反射する形状は空力的に不安定で飛行機としては適さない。

その欠点を高出力エンジン、偏向パドル(可変ノズル)、高度なコンピュータープログラムで補い無理やり飛ばしているのがステルス機だ。

つまり、ステルス機は高度な技術を必要とする飛行機で開発が難しい。しかし、中国はJ-20(殲20)とJ-31(殲31)の2機種のステルス戦闘機を同時に開発している。

その理由を調べてみた。

 

ステルス機の5つの特徴

1 形状が空力的に悪い

レーダー波を別の方向に反射するため、多数の平面で構成されており、空力的には不安定な形状をしている。

2 エンジンが高出力

空力形状が悪いので、強力なエンジンでないとまともに飛行できない。

3 偏向パドル(可変ノズル)

ステルス機は空力的に不安定な形状なので、エンジンの推力の方向を偏向パドル(可変ノズル)で変化させ、機体を安定させる。ただし、この偏向パドル(可変ノズル)は必ずしも必要なものではない。

4 飛行制御コンピュータープログラム

ステルス機の機体は空力的な形状が悪いため、飛行が不安定になる。そのため、コンピューター制御でやっと飛行できる。飛行制御コンピューターがなければ、パイロットも制御できないほと飛行が不安定になる。

5 高機動、高運動性能

ステルス機は空力的に不安定なので、バランスを崩しやすい。この不安定さを逆手にとり、普通の飛行機ではありえない飛行挙動をする高機動、高運動性をステルス機は持つ。

 

ステルス機の4つの開発ポイント
ステルス形状(外観)
高出力エンジン
飛行制御コンピュータープログラム
レーダー吸収素材

ステルス機F-22やF-35の外観は公開されているので、コピーできる。中国は航空祭などで、ありえないほどの超望遠レンズ、超接写で情報を手に入れている。

しかし、中国はステルス機の内部構造、エアインテーク、飛行制御プログラムなどは情報を入手することができず、その部分の開発がうまくいっていない。

また、中国には高性能エンジンの技術がない。中国はロシア製戦闘機Su-27、Su-30を輸入して、実際にロシア製高性能エンジンを手に入れている。

しかし、エンジンというのは、現物があっても、設計図があっても簡単にはコピーできないものなのだ。

 

J-20とJ-31の関係
J-31 J-20
全長 16.8m 20.3m
全幅 11.5m 13.0m
空虚重量 12.5トン 17トン
エンジン 2基 2基

J-20とJ-31ではJ-20の方が高性能で開発も進んでいる。J-31はJ-20よりも後から開発されたが、先に開発が始まったJ-20よりも性能が劣る。

これは、J-20が米軍のF-22のコピーであり、J-31が同じく米軍のF-35のコピーであるからだ。

J-20は比較的大型で、J-31は小型の戦闘機だ。J-31は、将来的に中国空母に搭載する艦載機タイプとして開発される可能性がある。

J-20はより大型のステルス戦闘爆撃機として、AWACS(早期警戒機)キラー、または空母キラーとして開発しているようだ。

J-31は小型の機体なので高出力エンジンを小型化しないといけない。中国はそのエンジンの小型化に失敗し、F-35がエンジン1基なのに対してJ-31はエンジン2基を搭載している。

しかもF-35のエンジン1基の出力よりもJ-31のエンジン2基の合計出力の方が小さい。

J-20は機体が大型な分、エンジンをJ-31ほど小型化する必要はないので、J-20の開発の方が速いと予想される。

J-31については高性能エンジンの小型化は開発困難が予想される。

 

今後の予想

中国が高性能エンジンを自力で開発するには10年~15年かかるだろう。飛行プログラムの開発も同様にそれくらいはかかる。

しかし、ロシアはエンジン技術と飛行プログラムをすでに持っているので、その情報が中国に渡れば、中国のJ-31、J-20戦闘機は数年で、実戦能力を持つようになる。

J-31については、将来的に中国空母に搭載する艦載機タイプも開発する可能性もある。そうなると中国軍は、「空母」+「ステルス艦載機」を保有することになり、日本にとってかなりの脅威になる。

中国は2隻目の空母も建造開始しており、最終的に3空母艦隊を配備する計画だ。1隻の空母には50機~60機の艦載機が搭載されるので、3空母艦隊で150機~180機の戦闘機になる。それらが尖閣列島の北150kmに展開することになる。

一方、自衛隊那覇基地から尖閣列島までの距離は400km、那覇基地の第9航空団のF-15Jは40機しかない。また、尖閣列島から170km離れた宮古島に射程300kmの新型地対艦ミサイルを配備する予定だが、現状では、12式地対艦誘導弾(射程200km)、88式地対艦誘導弾(射程150km)しかない。

距離的にも、保有数的には、尖閣周辺空域では、中国の方が圧倒的に有利となる。

中国大陸から尖閣列島からまでは最短で330kmで、中国軍は射程400kmのロシア製地対空ミサイル「S-400」を2017年にも尖閣列島に近い中国大陸基地に配備する予定だ。

現在のところ、中国の空母、J-31、J-20に実戦能力はないが、10年~15年後には日本の脅威になる可能性が十分にある。

これを阻止するには、ロシアの軍事技術が中国に流れないようしなければならない。そのためには、場合によっては北方領土の2島先行返還で早期に妥結することも選択肢になる。

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