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防衛省、次期潜水艦に垂直発射装置(VLS)搭載へ2028年以降か?トマホーク・12式地対艦誘導弾能力向上型

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防衛省は2020年代後半を見据え、次世代潜水艦への垂直発射装置(VLS:Vertical Launch System)搭載を検討していることが報じられました。

報道によれば、2028年以降に計画される新型潜水艦に、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」や日本独自開発の「12式地対艦誘導弾」の能力向上型を搭載する可能性が高まっています。これは日本の潜水艦戦力にとって画期的な変化であり、防衛戦略の新たな局面を示すものです。

本記事では、この次期潜水艦のVLS搭載計画の背景と意義、装備される兵器の特徴、そして日本の海洋防衛に与える影響について詳しく解説します。

 

垂直発射装置(VLS)とは?

垂直発射装置(VLS)は、潜水艦や艦艇に搭載されるミサイル発射システムの一種で、ミサイルを垂直方向に発射することが可能な装置です。

従来の潜水艦の魚雷発射管を使った斜め発射に比べ、VLSは複数の種類のミサイルを多段に搭載できる点で優れています。

VLSのメリット

  • 多様なミサイル搭載が可能:対艦、対地、対潜、対空など、用途に応じた多彩なミサイルを搭載できる。
  • 迅速な発射能力:複数のミサイルを連続して発射でき、対応力が向上。
  • 潜水艦の攻撃範囲拡大:従来の魚雷や短距離ミサイルだけでなく、長距離巡航ミサイルも運用可能となる。

アメリカ海軍の最新の潜水艦や空母打撃群はすでにVLS搭載が標準化しており、日本の自衛隊もこの技術を取り入れることで戦略的な選択肢が広がります。

 

次期潜水艦へのVLS搭載計画の背景
現在の海上自衛隊の潜水艦は、通常動力型潜水艦「そうりゅう型」やその改良型「たいげい型」が主力ですが、これらは魚雷発射管を用いて主に魚雷や短距離のミサイル(ハープーン:射程150km~250km)を発射できます。しかし、現代の海洋戦略環境では、長距離攻撃能力を持つ潜水艦の必要性が高まっています。
地政学的な変化と安全保障環境の厳しさ
  • 周辺海域での軍事的緊張の高まり
    中国や北朝鮮の海洋活動活発化により、広範囲かつ迅速な対応能力が必要。
  • 長距離巡航ミサイルの重要性増大
    米軍のトマホーク巡航ミサイルのように、敵地深くに攻撃可能なミサイルは抑止力として強力。

これらの状況を踏まえ、防衛省は2020年代後半の次期潜水艦にVLSを搭載し、トマホーク巡航ミサイルや日本独自の能力向上型12式地対艦誘導弾を運用可能とすることで、自衛隊の抑止力と攻撃能力の強化を図ることを検討しています。

 

トマホーク巡航ミサイルと12式地対艦誘導弾能力向上型の特徴
トマホーク巡航ミサイル

米国の巡航ミサイル「トマホーク」は、長距離の精密攻撃能力を持つ兵器として世界的に知られています。地上目標への攻撃が可能で、数千キロメートルの射程を持ち、低高度飛行で敵の防空網を回避します。

  • 射程:1,000km超
  • 精度:GPSと慣性誘導を組み合わせた高精度
  • 発射プラットフォーム:艦艇、潜水艦、空軍機

日本がトマホークの導入を進めることで、潜水艦から敵基地や重要インフラを遠距離から攻撃可能となり、敵の作戦遂行を大きく阻害できるようになります。

12式地対艦誘導弾能力向上型

日本が開発した「12式地対艦誘導弾」は、陸上からの海上目標攻撃用ですが、改良型として航空機発射型、潜水艦発射型で長射程化した「能力向上型」の開発が進んでいます。

  • 射程:約900km~1500km以上(改良前は200km)
  • 高精度な誘導システム搭載
  • 日本の島嶼防衛や沿岸防衛を強化

このミサイルの潜水艦発射型は、日本の防衛産業の技術力の高さを示すとともに、より近距離かつ沿岸域の警戒・抑止に貢献することが期待されています。

 

次期潜水艦のスペックと配備計画(予測)

型式 次期新型潜水艦(VLS搭載)
全長 90m(VLS6基)~94m(VLS10基)(たいげい型:84m)
基準排水量 3,500トン(たいげい型:3,000トン)
満載排水量 5,000トン(たいげい型:4,500トン)
乗員 70人
建造完工 2030年
搭載ミサイル トマホーク、12式地対艦誘導弾能力向上型
  • 上図ではVLSの位置は後方だが、正式ではない。個人的には前方になると思う。
  • VLSの搭載数は6基~10基と予想されているが、個人的には10基だと思う。
  • 自衛隊の潜水艦保有数は25隻であり、中国や米国の70隻と比較すると少ない。そのため「ミサイル搭載専用(VLS)潜水艦」とはならず、魚雷発射管も併用されると思う。

 

当ブログ作成

 

次期新型潜水艦(VLS搭載)を建造する背景
防衛省は米国製巡航ミサイル「トマホーク」(最大400発)を2025年度から2027年度にかけて順次調達する。
契約額は約2,540億円となる。
日本が購入するのは射程1,600kmのタイプで、地上発射、空中発射、潜水艦発射に使用する。
トマホークの仕様
項目 数値
全長 6.2 m
直径 53 cm
重さ 1,500 kg
最高速度 900 km/h
射程 1,250 km
弾頭重量 約 450 kg
トマホークの巡航速度は時速900kmと一般的旅客機と同じ速度であり、中国が配備している地対空ミサイル「S-300」「S-400」に撃墜される可能性が高い。
そこで、防衛省は、国産の12式地対艦誘導弾能力向上型を配備する予定だが、配備に時間がかかるので、一時的にトマホークを調達する。
12式地対艦誘導弾能力向上型
項目 内容
全長 9 m 以下
胴体幅 1 m 以下
主翼展張時の幅 4 m 以下
射程 1,500 km
特徴(機体形状) ステルス形状
情報処理・追尾能力 衛星データリンクシステムを搭載し、移動目標への追尾能力が向上
潜水艦に搭載

12式地対艦誘導弾能力向上型は、2025年から陸上発射型を配備すると見られるが、潜水艦発射型は2020年代後半と遅れる。

そのため、早期にトマホークを導入すると見られる。

トマホークは、潜水艦の魚雷発射管からも発射できるので、現行の「そうりゅう型」「たいげい型」「おやしお型」潜水艦にも搭載可能と思われる。

実際、現行の自衛隊潜水艦も射程150km~250kmのハープーンミサイルを搭載しているので、トマホークも比較的容易に搭載できると思われる。

また、ソフトウエアを改修すれば自衛隊のイージス艦の垂直発射装置(VLS)からも発射できる。

 

実験艦(潜水艦)を建造か?

政府は、長射程ミサイルを発射可能な潜水艦の保有に向け、技術的課題を検証する「実験艦」を新造する方向で調整に入った。(読売新聞)

繰り返しになるが、トマホークは潜水艦の魚雷発射管(533mm)から発射できるので、魚雷発射管から発射するのであれば、実験艦(潜水艦)を建造する必要はない。

したがって、実験艦(潜水艦)を建造するということは、VLS(垂直発射型)の搭載を検討していることだと思われる。

現行の海自潜水艦(たいげい型・そうりゅう型)からもトマホークを発射できるが(魚雷も含め30本)、魚雷発射管に充填する必要があり発射に時間がかかる。

トマホークの速度は民間旅客機並みの時速900kmなので、発見されると迎撃される可能性が高いため、一度に大量に発射する必要がある。つまり、飽和攻撃をしないと効果は期待できない。

実際、米海軍の「オハイオ級原子力潜水艦(全長170m・排水量18,750トン)」はトマホーク154基(弾頭450kg)を搭載できる。

やはり、潜水艦から同時に大量のミサイルを発射するにはVLSの方が有利だ。

また、運用方法としても、VLS搭載潜水艦は敵基地から1000km離れた後方に配備するが、攻撃型潜水艦は北朝鮮近海、台湾近海に配備するので同じ仕様では対応できない。

そのため、新型のVLS搭載潜水艦を建造する可能性が高いと予想される。

防衛省は2025年度予算の概算要求に「水中発射型垂直発射装置の研究」として300億円を計上。発射プラットフォームのさらなる多様化や水中優勢獲得に向け、研究を進める方針。今後、2025年度から研究に着手し、2029年度までに成果を検証する。
次期潜水艦(たいげい型の後継艦)

次期新型潜水艦の船型開発検討作業を防衛省から受注している川崎重工は、2023年12月に次期潜水艦の「コンセプト案」を公開した。
VLSは、船体の前部に搭載するようだ。
開発時間と開発費用を節約するため「たいげい型潜水艦」の全長を伸ばすと予想される。
仮にVLS(6基:横2列×縦3列)ならば、全長は6m伸びる。また、VLS(10基:横2列×縦5列)ならば全長は10m伸びる。
型式 次期新型潜水艦(VLS搭載)
全長 90m(VLS6基)~94m(VLS10基)(たいげい型:84m)
基準排水量 3,500トン(たいげい型:3,000トン)
満載排水量 5,000トン(たいげい型:4,500トン)
乗員 70人
建造完工 2030年

 

VLS搭載潜水艦は6隻~8隻か?

潜水艦の戦力を維持するには、改修と訓練が必要となる。

例えば、イギリス海軍の戦略ミサイル原潜「ヴァンガード級」は4隻体制で、常時1隻以上が稼働中するスケジュールになっている。

したがって、自衛隊の場合も、3隻ないし4隻保有で常時1隻以上が稼働できる。

自衛隊は常時2隻のVLS搭載潜水艦を稼働させると予想されるので、VLS搭載潜水艦の保有数は6隻~8隻と予想される。

 

自衛隊の潜水艦保有数は将来的に31隻~33隻か?
2025年現在、自衛隊は25隻(現役22隻+練習艦2隻+試験艦1隻)の潜水艦を保有する。
VLS搭載潜水艦と既存の潜水艦は役割が違うので、既存の潜水艦に追加して6隻~8隻を保有すると予想される。
したがって、将来的に自衛隊の潜水艦の保有数は現在の25隻に6隻~8隻を追加して、31隻~33隻になる可能性がある。
建造・調達ペース
現在、自衛隊は毎年1隻の潜水艦を就役させ、1隻を退役させて、25隻(現役22隻+練習艦2隻+試験艦1隻)を維持している。
今後、VLS搭載潜水艦を6隻~8隻を調達する場合、潜水艦の耐用年数は30年~40年なので既存の潜水艦を退役させなければいい。
または、たいげい型(または後継艦)の建造ペースを2年に1隻とし、余った建造能力を利用してVLS搭載潜水艦を2年に1隻調達するのかもしれない。
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