台湾は潜水艦8隻を自国建造する。
台湾の民間造船会社大手「台湾国際造船」が台湾南部の「高雄市」で建造し、1番艦は2024年に完成、2025年に就役予定で、建造費は1隻当たり約1,800億円。
最終的に2030年~2035年までに合計8隻を建造すると見られる。
2021年3月2日、台湾国防部は、米国の他に欧州の複数国が支援していると発表した。通常型潜水艦の建造能力から考えてイギリス、ドイツ、フランスの可能性が高い。
また、イギリス領ジブラルタルを拠点とする防衛コンサルタント企業 Gavrond 社との潜水艦の予備設計の監督について16億ドルで契約しているとされる。
引用・参照 https://www.cnn.co.jp/world/35165133.html
台湾は現在4隻の潜水艦を有するが、うち2隻は米国製で1940年代に建造された「テンチ級ガピー改修型」、2隻は1980年代に就役した「海龍級(劍龍級)」で旧式化していた。
米国などに潜水艦の売却を求めてきたが、中国の妨害により実現しなかったため、台湾が自国建造に踏み切った。
台湾の新型潜水艦は、ディーゼルエンジン駆動の通常動力型潜水艦で、設計・デザインは、日本の海上自衛隊「そうりゅう型」などを参考にし、米国製の戦闘システムを導入する見込み。
台湾国防部のシンクタンクである国防安全研究院の蘇紫雲所長は「6割は台湾の技術、4割は欧米などの技術輸入に頼ることになる。完成形としては、標準的な潜水艦よりも上のレベルのものになる」との見通しを公表した。
個人ブロガーによる予想
艦級 | 台湾新型潜水艦(推定) | そうりゅう型潜水艦 |
潜航深度 |
|
運用時650m/最深900m(推定) |
全長 | 70m | 84m |
全幅 | 8m | 9.1m |
基準排水量 | 2,500トン | 2,900トン(5番艦以降2,950トン) |
水中排水量 | 3,000トン | 4,200トン |
水中速度 | 20ノット(時速37km) | 20ノット(時速37km) |
水上速度 | 13ノット(時速24km) | 13ノット(時速24km) |
乗員 | 60名 | 65名 |
建造費 | 1,800億円(8隻で1兆4400億円) | 530億円~560億円(11番艦660億円) |
AIP | 1番艦にはAIPは非搭載、2番艦以降「ドイツ製燃料電池」搭載か? | スターリングエンジン |
兵装 | 533mm魚雷発射管×6門 | 533mm魚雷発射管×6門 |
魚雷等 | Mk48魚雷・ハープーン(合計28本) | 89式魚雷・18式魚雷・ハープーン(合計20本) |
舵 | X舵 | X舵 |
航続距離 | 12,000km | |
建造数 | 8隻 | 12隻 |
- 2035年以降、中国軍は、日本の潜水艦22隻+台湾潜水艦8隻=30隻と対決しないといけない。
- もし、台湾の新型潜水艦が「そうりゅう型潜水艦」に近い性能ならば、中国海軍に勝ち目は1%もない。
- 逆に言うと、中国軍が尖閣や台湾に侵攻するのは2030年頃までが「ラストチャンス」になり、今後さらに緊張状態が高まる可能性がある。
- 今回の台湾の新型潜水艦建造は、中国と台湾の軍事バランスに大きな影響を与える。
米国はブッシュ政権は2001年に台湾への潜水艦の売却方針を固めたが、中国の激しい反発があり断念した。
これに対して台湾海軍の強い要望で、馬英九前政権は自前による潜水艦(IDS)建造計画を計画していたが、親中国派の馬政権では実現しなかった。
しかし、2016年に総統に就任した蔡英文・民進党政権下で潜水艦(IDS)建造計画が再び浮上し今回の建造起工となった。
型式 | 海龍級(劍龍級) | テンチ級ガピー改修型(茄比級) |
全長 | 66.9m | 306フィート(約93m) |
全幅 | 8.4m | 27フィート(約8.2m) |
水上排水量 | 2,367トン | 1,800トン |
水中排水量 | 2,667トン | 2,400トン |
水上速度 | 12ノット | 12ノット |
水中速度 | 20ノット | 10ノット |
魚雷発射管 | 6門 | 無し(当ブログ予想) |
保有数 | 2隻 | 2隻 |
米国は最近、台湾への武器輸出を加速させている。したがって、アメリカから潜水艦建造の技術が提供される可能性がある。
「設計・デザインは、日本の海上自衛隊のそうりゅう型などを参考にし、米国製の戦闘システムを導入」と発表されてるが、これはオーストラリアの潜水艦プロジェクトに応募した組み合わせと似ている。
「そうりゅう型船体+米軍装備」というのは、かなり確実で、米軍装備として米国製Mk48魚雷が採用されると予想される。
2番艦以降はAIPを搭載する可能性があるが、そうりゅう型AIP(スターリングエンジン)は海自の現場隊員からも不評のため採用されないと思う。
そうなるとドイツは輸出用潜水艦「214型」に燃料電池を搭載しており、台湾の潜水艦にドイツ製燃料電池が採用される可能性がある。
それが実現すると「そうりゅう型船体+米軍装備+独燃料電池」という高性能潜水艦になる可能性がある。
また、台湾側は「完成形としては、標準的な潜水艦よりも上のレベルのものになる」としているので、最大潜航深度は初期型で「水深300m~400m」、完成形で「水深400m~600m」ではないか?
1番艦は、試験艦的な役割もあり、高性能を追求するのではなく、建造技術を確立する狙いがあると思われる。したがって、2番艦以降は高性能型となる可能性がある。