稲田防衛大臣は2016年8月13日から8月16日まで、アフリカのジブチを訪問、ソマリア沖の海賊対策で派遣されている自衛隊員を激励する。8月15日の靖国神社参拝を見送った。
稲田防衛大臣はなぜ、靖国参拝を見送ったのか?
例年、8月15日に靖国神社を参拝していた稲田氏は、防衛大臣に就任後も靖国参拝を希望していた。しかし、中国の反対で、取りやめたとの見方が一般的だ。
靖国参拝をめぐる出来事(時系列)
7月28日 中国政府は、日本人男性をスパイ容疑で拘束と発表
7月29日 2015年6月から中国当局にスパイ容疑で拘束さていた日本人女性が起訴されたことが分かった
8月3日 稲田朋美氏、第3次安倍内閣の防衛大臣に就任
8月3日 中国海警局船3隻が尖閣接続水域に侵入
8月6日 中国漁船230隻、中国海警局船最大15隻が尖閣接続水域に侵入、一部は領海侵犯
8月11日 中国海警局船、尖閣周辺から撤退
8月12日 稲田大臣、靖国参拝見送り発表。中国当局、ホンハイ(台湾)のシャープへの出資を承認
水面下の日中交渉を予想する
以下は個人の予想です。
中国習近平政権は、稲田大臣の靖国参拝を阻止したかった。それは、中国国内向けの理由だ。つまり歴代中国主席は日本の首相、外務大臣など主要閣僚の靖国参拝を阻止してきた。
もし、稲田防衛大臣が靖国参拝すると、習近平主席は、歴代中国主席ができたことができなかった外交能力のない主席と言うことになる。
これは、反習近平派にとって絶好に攻撃材料になる。そのため習近平主席は絶対に稲田大臣の靖国参拝を阻止しなければならなかった。
一方、安倍首相はアメリカへの配慮から8月15日の稲田大臣の靖国参拝は反対だった可能性が高い。8月6日から8月11日にかけ、日本側は8月12日~14日の稲田大臣の前倒し参拝で押し切ろうとしたと考えられる。しかし、習近平政権はそれを認めず交渉は長引いた。
日本側は、8月10日の段階で、8月12日~14日の前倒し参拝で行くつもりだったが、中国はホンハイ(台湾)のシャープへの出資を承認すると提案してきた可能性がある。
最終的に、稲田大臣の靖国参拝は見送り、中国はホンハイ(台湾)のシャープ出資を承認することで決着した模様。
中国の意図
今回の中国漁船、公船の尖閣接近は、尖閣列島を占領しようという目的ではなく、日本の譲歩を引き出すために駆け引きだった。
それは、中国外務省の談話に現れている。
8月6日 中国外務省の華春瑩副報道局長は、中国漁船230隻が尖閣周辺に集結している件で「日本が冷静に対応することを希望する」との談話を発表した。
この意味は、「中国は尖閣を占領する意思はないから、日本は海上警備行動や防衛出動を発令しないでくれ」という懇願だ。つまり、中国が軍事力で自衛隊に負けていることを認めたことになる。
軍事的には、中国軍は弱く、尖閣への数時間の上陸はできても、占領はできない。しかも数時間の上陸のために中国軍は50隻の艦艇を撃沈され、戦死者は5,000人以上となる。これだけの損害をだしたなら、中国共産党自体が崩壊する可能性がある。
靖国参拝は日本側が外交カードに使える
日本側は靖国参拝すると発言して、中国になんらかの譲歩を引き出すカードとして使える。中国が漁船230隻~400隻を送り込んだことが、それだけ靖国参拝が中国の政権によって不都合なことと言うことだ。
中国の外交は相手の嫌がることをして、相手を譲歩させる。それがいいか悪いかの問題ではない。テニスだって、相手のいないところにボールを打つ。テニスで相手の打ちやすいところにボールを打つのは下手な選手だ。相手の嫌がることをするのはスポーツも外交も時として正しいと言える。
中国の狙いは沖縄だ
軍事的には10年後も中国は尖閣を占領できない。したがって、中国は沖縄県全体を取りに来るだろう。沖縄の独立運動、反基地運動を支援し、沖縄を独立させ、在日米軍を撤退に追い込む。これは中国にとって軍事力を使わない極めて都合のいい作戦だ。
2016年1月22日、「李天然」駐福岡中国総領事が沖縄県に入り、沖縄県知事を表敬訪問している。