「そうりゅう型」潜水艦の潜航深度と性能【2020年3月 11番艦 おうりゅう 引き渡し】

中国海軍など多くの国が採用しているロシア製「キロ級潜水艦」の潜航深度は運用時で水深240m、最深で水深300mとされる。

海上自衛隊の潜水艦の潜航深度は公表されていないが、海上自衛隊の潜水艦救難艦に搭載されている深海救難艇(DSRV)の飽和潜水深度は450mと公表されている。

さらに海上自衛隊は無人潜水艇(ROV)を保有しているが、この耐圧深度は1,000mとされる。

また海上自衛隊が保有する潜水艦発射89式魚雷の最大深度は900mとされることから、海上自衛隊の潜水艦の潜航深度は運用時500m以上というのは間違いない。

そうりゅう型潜水艦には溶接可能な鋼材としては世界最高水準である「NS110鋼材」(耐力110㎏f/mm)が使用されている。これは計算上、水深1,000mの水圧にも耐えられる。

これらのことから「そうりゅう型」潜水艦の潜航深度は運用時650m、最深900mと推定される。

潜水艦のハッチの厚さで潜航深度が分かると言われているが、21世紀でも通用するかどうかは不明。ちなみに、そうりゅう型潜水艦のハッチの厚さは約30cmと思われる。

 

そうりゅう型潜水艦の性能仕様
潜航深度運用時650m/最深900m(推定)
全長84m
全幅9.1m
基準排水量2,900トン(5番艦以降2,950トン)
水中排水量4,200トン
水中速度20ノット(時速37km)
水上速度13ノット(時速24km)
乗員65名
建造費530億円~560億円(11番艦660億円)
兵装533mm魚雷発射管×6門
水雷等89式魚雷・18式魚雷・ハプーン(合計20本)
航続距離12,000km
建造数12隻

通常型潜水艦として、自衛隊の「そうりゅう型潜水艦」の性能は世界トップクラスと言える。

2020年3月に就役したリチウムイオン電池搭載の11番艦「おうりゅう」は、同じ速度の場合従来の「そうりゅう型潜水艦」の2倍以上の距離を連続潜航できる。

当ブログの予想では、日本周辺の海峡などチョークポイントでの「待ち伏せ任務」の場合、連続潜航時間は「従来の2週間から1ヵ月間へ」と2倍になったと思われる。

さらに、リチウムイオン電池を搭載したことにより、従来型なら数時間かかるシュノーケル充電時間を大幅に短縮でき、敵に発見されにくくなった。

 

海上自衛隊「歴代潜水艦」の潜航深度(推定)

退役潜水艦

建造期間就役期間建造数計画数現役隻数推定潜航深度
ゆうしお型1976年~1989年1980年~2008年10隻10隻0隻450m
はるしお型1987年~1997年1990年~2017年7隻7隻0隻550m

 

現役潜水艦

建造期間就役期間建造数計画数現役隻数推定潜航深度
おやしお型1994年~2008年1998年~就役中11隻11隻11隻(9隻+練習艦2隻)600m~650m
そうりゅう型2005年~2021年2009年~就役中11隻12隻11隻650m~900m
合計22隻(20隻+練習艦2隻)

2020年3月現在、現役艦20隻+練習艦2隻の合計22隻となっている。

 

そうりゅう型潜水艦が世界最強の理由

他国の潜水艦は水深300mしか潜れないし、対潜水艦ミサイル(アスロック)も水深300~400mしか届かない。

また、他国の潜水艦の魚雷は水深500mより深いところでは、水圧で圧潰するので水深650m~900mの「そうりゅう型」潜水艦を攻撃できない。

一方、そうりゅう型潜水艦は水深650m~900mまで潜航でき、そこから水深300mにいる他国潜水艦を魚雷攻撃できる。

つまり「そうりゅう型」潜水艦は他国の潜水艦から攻撃されることなく、一方的に攻撃できるのだ。

 

そうりゅう型潜水艦のAIP

海上自衛隊そうりゅう型潜水艦(SS16)は非大気依存推進装置AIPを搭載している。

これはスターリングエンジンで液体酸素と少量のディーゼル燃料でエンジンを稼動、発電し推力を得るシステムだ。

従来型潜水艦の潜航期間は数日だったが、AIP搭載により潜航期間は2週間と大幅に延長された。

しかし、AIP使用時の水中速度は5ノット(時速9km)と遅く、またAIP装置は巨大で乗員の居住区画が小さくなるという問題点がある。

 

11番艦 おうりゅう

AIPの弱点を克服するため「そうりゅう型潜水艦11番艦 おうりゅう」はスターリングエンジンを廃止し、体積エネルギー密度が鉛蓄電池の4倍のリチウムイオン電池(GSユアサ・テクノロジー社製)を採用し、廃止したAIP区画にもリチウムイオン電池を設置し総蓄電容量は従来のそうりゅう型潜水艦の8倍(4倍+4倍)と予想される。

AIPを搭載していない「おやしお型潜水艦」の4倍の蓄電量と予想される。リチウムイオン電池は高価なため、建造費は660億円となった。

リチウムイオン電池の採用により従来型艦(AIP使用時時速9km 5ノット)よりも、高速で潜航でき潜航日数も長くなった。

そもそも「そうりゅう型潜水艦」は海峡などのチョークポイントで待ち伏せする場合、潜航中はそれほど移動せず、スターリングエンジンで十分だった。

しかし、リチウムイオン電池搭載「そうりゅう型潜水艦11番艦(おうりゅう)」は、潜航航続距離が約2倍に伸びたことにより「ゲール・デ・クルース」(巡洋艦戦略)も容易になった。もちろん、待ち伏せ作戦を行うこともあり、その場合1ヵ月間潜航できる。

ただ、リチウムイオン電池に変更したことにより水中最高速度が20ノット(37km/h)から18ノット(33km/h)へと遅くなったとする見方もあるが、実際には20ノットで潜航する場面はほとんどなく作戦上は問題ないとの意見もある。

 

連続潜航距離(当ブログの予想)
艦種電池種類速度潜航持続時間連続潜航距離
おやしお型鉛蓄電池4ノット(7km/h)100時間700km
そうりゅう型(前期型)鉛蓄電池4ノット(7km/h)50時間350km1,250km
AIP(スターリングエンジン)5ノット(9km/h)100時間900km
そうりゅう型(おうりゅう)リチウムイオン電池4ノット(7km/h)400時間2,800km
8ノット(15km/h)100時間1,500km
12ノット(22km/h)44時間970km
16ノット(30km/h)25時間750km

当ブログの予想では、AIP搭載「そうりゅう型」はAIP駆動により時速9kmで900km、鉛蓄電池で時速7kmで350kmの合計1,250km連続潜航できると思われる。

リチウムイオン搭載「そうりゅう型」は、リチウムイオン電池により時速15kmで1,500km連続潜航できると予想される。また、時速30kmなら750km連続潜航できると推定され、25時間という短時間ではあるが原子力潜水艦に匹敵する性能を持つと考えられる。

 

そうりゅう型潜水艦の配備数と配備基地
艦名進水就役配備基地
1番艦そうりゅう2007年12月2009年3月呉基地
2番艦うんりゅう2008年10月2010年3月呉基地
3番艦はくりゅう2009年10月2011年3月呉基地
4番艦けんりゅう2010年11月2012年3月呉基地
5番艦ずいりゅう2011年11月2013年3月横須賀基地
6番艦こくりゅう2013年10月2015年3月横須賀基地
7番艦じんりゅう2014年10月2016年3月呉基地
8番艦せきりゅう2015年11月2017年3月呉基地
9番艦せいりゅう2016年10月2018年3月横須賀基地
10番艦しょうりゅう2017年11月2019年3月呉基地
11番艦おうりゅう2018年10月2020年3月呉基地
12番艦とうりゅう2019年11月2021年3月(予定)

2020年3月、11番艦「おうりゅう」が呉基地に配備され「そうりゅう型潜水艦」の配備数は呉基地に8隻、横須賀基地に3隻となる

首都圏の横須賀基地よりも西日本の呉基地の方が配備数が多い。

これは尖閣列島など南西諸島に「そうりゅう型」潜水艦を派遣するには、呉基地の方が距離的に近いからだ。

尖閣列島やパシー海峡(台湾~フィリピンノ100km)周辺に「そうりゅう型潜水艦」を常時8隻を配置しているという情報もある。

また、尖閣列島周辺では「そうりゅう型潜水艦」は常に中国海警局船をロックオンしており、日本の首相が自衛隊法76条の防衛出動を発令すれば、中国海警局船をいつでも撃沈できる状態にあると思われる。

 

海自潜水艦を16隻から22隻体制へ

従来、海自自衛隊の潜水艦は現役16隻+練習艦2隻の18隻体制だったが、2021年度(2022年3月)には現役22隻+練習艦2隻の24隻体制になる予定。

 

2021年度(2022年3月)の予想配備数

型級現役練習艦合計
おやしお型9隻2隻11隻
そうりゅう型12隻12隻
次期潜水艦1隻1隻
合計22隻2隻24隻

2021年度以降は次期潜水艦の就役と同時に順次「おやしお型潜水艦」を退役させる。

 

原子力潜水艦との性能比較

原子力潜水艦の最大潜航深度は500~700mと推測される。中には深度900m~1,000mと言われることがあるが、米ソ冷戦時代に建造された超高性能・超高価な数隻の原潜(米・シーウルフ級など)のみだ。

現在の米国海軍の主流である「ロサンゼルス級原潜」は水中排水量約7,000トンと大型のため、潜航深度は600m程度とされる。

原潜は原子炉を停止することができないので、運転音が通常型潜水艦よりも大きい。さらに原子炉からの熱は最終的に海中に放出されるので、原潜の周囲の海水温が高くなり探知されやすくなる。

したがって、静粛性は「そうりゅう型」が優位、潜航深度も「そうりゅう型」と同等と思われる。

潜航期間、航続距離は原潜の方が圧倒的に有利だが、日本周辺海域であれば、2~3週間の潜航期間の「そうりゅう型」でも不利となならない。

 

次期潜水艦

次期潜水艦は、プロペラスクリューを廃止し原子力潜水艦と同じ「ウォータージェット推進」となり、より静粛性と高速性が高まる。

ウォータージェット推進はプロペラ推進よりもエネルギー効率(燃費)が悪いが、静粛性と高速性が高い。

リチウムイオン電池を採用したことにより潜航航続距離が長くなり、エネルギー効率よりも「静粛性」と「高速性」を重視したと言える。

その結果、水深200m以下の東シナ海のように浅い海域でも発見されにくくなる。

次期潜水艦が40隻あれば、日本は中国海軍を完全に海上封鎖できる。

建造費は700億円と予想されるので40隻で2兆8000億円となる。これで、中国は完全に日本に対して手も足も出せなくなる。

また、そうりゅう型潜水艦は1隻あたり20本の魚雷を搭載していると予想されるので、尖閣列島に5隻配備すれば中国軍艦100隻を1時間以内に全滅させることができる。

なぜ1時間かかるかというと、海自の89魚雷の最高速度は120km/hなので、12km先の中国軍艦を撃沈するのに6分、36km先だと撃沈まで18分かかる。

海自の89魚雷は目標の途中まで有線で誘導するので、魚雷20発を6門の発射口から発射するのに30分~1時間かかるからだ。

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