翁長沖縄県知事、個人賠償の可能性
2017年3月27日、産経新聞は
「政府、辺野古阻止の権限乱用で沖縄・翁長雄志知事個人に損賠請求検討」
と報道した。
政府が直接、翁長知事に損害賠償するのではない
記事タイトルからは、「政府が直接、翁長知事に損害賠償を請求する」とも解釈できる。
しかし、実際には、政府が直接、翁長知事に損害賠償するのではない。
損害賠償請求の流れ
国が沖縄県に対して損害賠償請求訴訟を提訴し沖縄県が敗訴した場合
- まず、沖縄県が損害賠償を国に払う
- 次に、沖縄県が国家賠償法1条により、翁長知事に「求償権」を請求する
国→沖縄県→翁長知事
という順番に、損害賠償(求償権)を請求することになる。
住民訴訟
沖縄県が翁長知事に求償権を請求しない場合、住民訴訟という手段がある。
沖縄県が翁長知事に対して損害賠償金の支払いを請求するよう住民が裁判をすることができる。
求償権とは?
求償権とは法律用語で説明するのが難しい。
簡単に書くと「沖縄県が翁長知事の代わりに国に損害賠償金を支払った。だから、翁長知事は沖縄県が国に支払った賠償金を払え」ということになる。
求償権が認められた例
東京都国立市は国立マンション訴訟で建設業者に3,123万円を賠償した。
国立市は当時の市長に対して求償権を行使し提訴、東京高裁は当時の市長に対して3,120万円を国立市に賠償すべきという判決を下した。
まとめ
2016年12月、最高裁は辺野古の埋め立て工事は合法で、それを一方的に取消した沖縄県が敗訴した。
したがって、最高裁判決を無視して、沖縄県が辺野古埋め立て工事を実質中止するような決定をした場合、国は沖縄県に損害賠償請求を行うことになる。
そして、沖縄県は賠償金を翁長知事に請求することになる。
国の試算では、辺野古工事が1日中断すると数千万円の費用がかかるとされ、10日間程度工事が中断すれば、損害賠償額は数億円とされる。
翁長知事の資産
ちなみに、2015年に沖縄県が公表した翁長知事の資産報告書によると、2014年12月10日時点で、不動産などで694万円で、預貯金は0円だった。
これは定期預金の残高が資産報告の対象になっていないからだと思われる。