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海上警備行動が発令される寸前だった。中国軍艦尖閣接続水域侵入事件。

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2016年6月9日、日本の領土である尖閣列島の接続水域に中国の軍艦(ジャンカイI級フリゲート艦、排水量4,000トン 全長132m)が侵入した。

ロシア軍艦が東南アジアでの演習を終えて母港のウラジオストックに帰港する途中に尖閣列島の接続水域に進入し、中国軍艦はロシア軍艦を警戒追尾する形で尖閣接続水域に侵入した。

これは表面的な口実で、実際は、G7サミットなどで中国の南シナ海海洋進出を批判する日本に対する趣旨返しと日本の反応を確認する意図があったと思われる。

また、ロシア海軍との連携は確認されていないが、ロシア海軍が日本の尖閣列島接続水域を航行することを中国が事前に知っていた可能性がある。

というのは、中国の軍艦は通常、尖閣列島の50~100km北方に待機している。南から接近するロシア海軍と同時に北から接続水域に侵入するのはタイミングが良すぎるからだ。

 

中国軍艦の動き

2016年6月9日午前0:50分、中国軍艦は尖閣列島の接続水域に侵入した。そのまま直進すれば、日本の領海に入るコースだった。

そのため、日本の外務事務次官が深夜2時にも拘らず駐日中国大使を呼び出した。

中国軍艦は、日本の領海まであと数キロ、時間で言うと10~15分の地点まで接近したと推定される。しかし、領海侵犯はなく6月9日午前3:10分に接続水域を出た。

もし、中国大使が「尖閣は中国領」と回答すれば、武器使用ができる防衛出動が発令される可能性もあった。

 

日本の動き

2016年1月、日本政府は中国政府に対して日本の尖閣列島の領海に中国軍艦が侵入すれば、海上警備行動を発令すると連絡していた。

今回の場合、中国軍艦は直進すれば、確実に日本の領海を侵犯するコースだった。そのため、防衛大臣が自衛隊に対して海上警備行動を発令する寸前だったと思われる。

 

海上警備行動と防衛出動の違い

海上警備行動とは自衛隊法82条により、防衛大臣が海上の治安維持のために自衛隊の出動を命令するもの。あくまでも海上保安庁の代わりに自衛隊が出動するので、武器使用の制限がある。具体的には相手が機関砲を装備しているなら、相手と同等程度までの武器使用が認められる。

 

防衛出動とは、日本が武力攻撃を受けたり、または、武力攻撃が発生する明白なときに、自衛隊法76条により内閣総理大臣が自衛隊に出動を命令するもの。自衛の範囲内での武器使用が可能となる。海上警備行動よりも武器使用の制限は緩い。

 

海上警備行動が発令された場合

海上警備行動が発令されると、海上自衛隊は領海侵犯した中国軍艦に対して退去命令を出す。もし、これに中国軍艦が従わなかった場合、海上自衛隊の護衛艦、潜水艦が中国軍艦に対して威嚇発砲する可能性があった。

日本側の威嚇発砲に対して、中国軍艦が発砲すれば、交戦に発展する可能性があった。

 

また、中国海軍が領海に侵入し、「ここは中国領」と宣言した段階で、防衛出動に切り替え、自衛隊が自衛権を行使して、中国軍艦を撃沈する可能性があった。

今回の中国軍艦による接続水域侵入事件はそれほど危機的な状況だった。

 

海上自衛隊潜水艦も配備されていた可能性が高い

尖閣列島は海上保安庁が1500トン級巡視船10隻とペリ搭載大型巡視船2隻の12隻体制で24時間監視している。

また、今回のように、海上自衛隊の護衛艦も尖閣列島の南方で警戒監視を行っている。したがって、海上自衛隊の潜水艦が1~2隻常駐していると推定される。

そうりゅう型潜水艦は、ステルス性が高く、中国軍艦には発見できない。防衛出動の命令が出た瞬間、そうりゅう型潜水艦が魚雷を発射すれば、中国軍艦は5~10分で撃沈される。

ただ、そうりゅう型潜水艦は1隻当たり魚雷を12~20発程度しか搭載していない。したがって1隻のそうりゅう型潜水艦は10~15隻の中国軍艦しか撃沈できない。中国軍艦が50~100隻で尖閣を包囲した場合、現状の1~2隻の「そうりゅう型潜水艦」では魚雷の本数が合計24~40発なので全く足りない。

尖閣を完璧に防衛するなら、そうりゅう型潜水艦を5隻以上常駐させなければいけない。

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