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なぜEU離脱派が勝利したのか?労働者階級のエリートへの反発

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2016年6月23日、イギリスの国民投票でEU離脱派が多数となった。この投票結果を受けEU残留派のデービッド・キャメロン首相は2016年10月にも首相を辞任し、EUとの離脱交渉は次期首相が行うことになった。

次期首相にはボリス・ジョンソン前ロンドン市長が有力

ボリス・ジョンソン氏はオスマントルコの内務大臣アリ・ケマルの子孫で、また、父方の先祖はジョージ2世がいる。庶民的な性格でイギリス国民に人気が高い。EU離脱派だが、次期首相の座を狙うため、あえてEU残留派のキャメンロン首相やオズボーン財務相と反対の立場を取ったとも言われる。

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なぜEU離脱派が多数となったのか?

事前の世論調査ではEU残留派が多数と見られていた。しかし、EU離脱派が多数となった。それはなぜなのか?

EU離脱者 EU残留派
高齢者 若年層
イングランドの農村部 スコットランド
ロンドン
イングランドの工業都市

EU離脱問題は移民問題である。移民がイギリス人の仕事を奪う、移民への社会保障をイギリス人が負担することに国民の不満が高まっていた。そこでキャメロン首相はイギリスへの移民を年間10万人程度に抑制する政策を取ったが失敗し、EU内外の移民は年間30万人に増加した。

しかし、EUから補助金を受けるスコットランドや国際的企業が多いロンドンはEU残留者が多数で最終的にEU残留派が勝利すると見られていた。

実際、スコットランドとロンドンはEU残留派が多数となっている。票読みが間違ったのがイングランドの工業都市市民の投票行動だった。イングランドの工業都市は工業製品をEU域内に自由に輸出できるのでEU残留派と見られていた。しかし、工場労働者の生活は厳しく、それがキャメロン政権への批判票として、EU離脱票となった。

デービッド・キャメロン首相の不人気が原因

イギリスはいまだに階級社会で人数的には労働者階級の方が多い。いわゆるエリート(エスタブリッシュメント)のデービッド・キャメロン首相やオズボーン財務相は労働者階級に不人気だった。

本来はEUから離脱したくなかったが、キャメロン首相やオズボーン財務相がEU残留派ならその反対のEU離脱に投票した人もいたと考えられる。

EU離脱でも関税ゼロならイギリスにメリット大

EU離脱するとEU諸国との貿易で関税が課せられるというデメリットがある。しかし、FTA(自由貿易協定)やTTPなど外国との貿易で関税をゼロにすることも可能である。

イギリスとEU諸国の間でFTA(自由貿易協定)を締結し関税をゼロにできればイギリス経済のダメージは最小限になる。

今後の見通し

ギリシア危機でユーロ安となり、ドイツは輸出品を低価格で世界中に販売でき数十兆円のメリットがあった。また、ドイツ企業は人件費5分の1のルーマニアなどに工場を作り低コストで工業製品を生産でき世界へ輸出してきた。

このように、ドイツが一番EU統合のメリットを受けていた。イギリスのEU離脱を契機にドイツへの批判が高まる可能性がある。そうなると一気にEUが解体される可能性もある。ただ、すべての国についてEU離脱問題を国民投票で決定するものではないので、その点は流動的だ。

また、イギリスがEU離脱して関税ゼロを維持するならEU離脱国が増加する可能性もあるので、関税ゼロ交渉は難航するだろう。

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