現在の核抑止力は陸上発射のICBMと潜水艦発射のSLBMが中心になっている。陸上発射の弾道ミサイルICBMは敵の一次攻撃で70~80%は破壊されると言われる。
しかし潜水艦発射型弾道ミサイルは水深300m~600mの海に潜っている潜水艦から発射されるので、敵の一次攻撃ではまず破壊されない。生存率が極めて高い兵器だ。
南シナ海の重要性
中国は南シナ海の海南島に潜水艦基地をもっている。南シナ海以外の中国沿岸は大陸棚で水深は平均200mと浅く、SLBM搭載潜水艦を潜伏させてもすぐに発見される。
しかし、南シナ海は水深3,000mあり潜水艦を潜伏させるには好都合だ。
中国のSLBMの現状
中国のSLBMは射程8,000kmしかない。したがって南シナ海から直接アメリカ本土をSLBMで攻撃することはできない。
もし中国の射程8,000kmのSLBMでアメリカ本土を狙うなら西太平洋にでないといけない。
尖閣列島の軍事的重要性
中国近海には日本列島や台湾があり、簡単には太平洋に出れない。そこで中国は尖閣列島がどうしても欲しい。
もし、中国が尖閣列島を手にいれれば、尖閣に滑走路やミサイルを配備して半径100km程度は他国の艦船や航空機が事実上入れない中国の聖域となるだろう。
そうすれば、中国大陸の海軍基地から自由に西太平洋に艦船を派遣できる。SLBM搭載潜水艦が自由に西太平洋に展開できると、射程8,000kmしかない中国のSLBMでもアメリカ本土を直接攻撃できるようになる。
尖閣は小さな無人島だが、中国にとっては、アメリカをSLBMで攻撃できるかどうかの重要な島なのだ。
アメリカの立場からすれば、尖閣を中国が支配すると、中国のSLBMでアメリカ本土が直接狙われることになる。
また、北朝鮮の潜水艦も尖閣近辺から西太平洋に展開できるようになるかもしれない。
尖閣は、アメリカにとっても軍事的に大変重要な島だ。
今後の南シナ海での展開
中国は今後も南シナ海の支配を強めるだろう。アメリカは逆に南シナ海に中国支配をけん制する動きを加速させるだろう。
もし、中国が射程15,000km程度の射程のSLBMを開発すれば、南シナ海から直接SLBMでアメリカ本土を攻撃できることになる。そうなってしまえば、アメリカの弱体化は避けれないので、今後も南シナ海での米中の対立は激しくなるだろう。
また、アメリカの航行の自由作戦で南シナ海に派遣されてのは在日横須賀基地所属のイージス艦「ラッセン」だった。アメリカが南シナ海を抑える上でも在日米軍が重要な働きをしている。