中国共産党政治局常務委員
中国共産党中央委員会第1回総会(1中総会)で党最高指導部人事(第20期 任期5年)が2022年10月23日に決定した。
新たな最高指導部に習近平総書記、李強氏、趙楽際氏、王滬寧氏、蔡奇氏、丁薛祥氏、李希氏の計7人を選出した。
今回の「チャイナ・セブン」は、序列7位の李希氏以外は、すべて習近平派となり、7位の李希氏も習近平氏に反対はしないと見られる。
これにより、胡錦涛派、江沢民派は権力を失い、習近平主席の独裁体制が確立した。
このことから、次の4期目(2027年~2032年)も、習近平氏が主席となる道筋が見える人事となった。
2027年までに台湾に侵攻する必要はない
以前は、習近平主席の3期目の任期が終わる2027年までに、中国が台湾に侵攻する可能性があるとされた。
しかし、習近平主席は4期目の任期の期限2032年まで最高指導者の地位を維持すると見られるので、あえて、2027年までに台湾に侵攻する必要はなくなったと言える。
逆に台湾侵攻の可能性は高まった
「攻撃3倍の法則」というものがある。攻撃側は守備隊の3倍の兵力が必要とするドイツ陸軍の考え。
これによると、中国軍が台湾全土を占領するには、台湾に陸上兵力30万人~50万人を上陸させる必要があると思う。
そのためには、一隻当たり1,000人収容できる大型の強襲揚陸艦が200隻~300隻(20万人~30万人)は必要だ。
しかし、2022年時点で中国軍の075型強襲揚陸艦(1,600人収容)は3隻しかなく、計画中も含めても8隻しかない。また、071型揚陸艦(最大800人収容)も8隻しかなく、計画中を含め16隻で約2万人しか収容できない。
全艦が敵に攻撃されず5往復してやっと10万人を上陸させられる程度の戦力でしかない。
つまり、現時点では、中国軍には台湾に数十万人以上の陸上兵力を上陸させる能力はなく、2027年時点でも強襲揚陸艦は多くても20隻~30隻で、台湾侵攻の軍備としては十分ではない。
しかし、習近平政権が2032年まで継続する可能性が高くなったので、2023年から9年をかけ台湾に侵攻する軍備を整えることができるようになった。
その結果、中国が2032年までに台湾に侵攻する可能性が高まったかもしれない。
1945年米軍の沖縄上陸作戦の例
- 期間 1945年3月26日~1945年6月23日
- 日本軍兵力 116,400人(うち陸軍約5万人、海軍3千人、後方部隊2万人、沖縄現地招集3万人)
- 米軍兵力 548,000人(う上陸兵力278,800人)
日本軍の兵力は実質、陸軍5万人+3万人=8万人と言える。これに対して、米軍の上陸兵力は278,800人で日本軍の約3倍と言える。
今後の台湾上陸作戦予想
台湾陸軍の兵力は10万人なので、中国軍はその3倍となる30万人の上陸部隊が必要になる。
しかし、ロシアによるウクライナ侵攻の際は、ウクライナ軍20万人だったが、予備約を含め90万人となった。
台湾の場合も、予備役を含めると実質15万人~20万人の兵力と考えることができ、中国軍はその3倍の45万人~60万人の陸上部隊を台湾に上陸させる必要がある。
中国軍が台湾に侵攻するならば、事前に1,000発以上のミサイルで台湾を攻撃すると予想され、その時点でアメリカ軍の原子力潜水艦は台湾海峡付近に展開すると予想される。
しかし、中国の対潜能力は低く、アメリカ軍の原子力潜水艦を発見できない。
中国軍の装備から考えて、強襲揚陸艦による台湾上陸作戦はそう簡単ではない。
当ブログの予想
結論から言うと、中国軍が台湾に上陸するのはかなり難しい作戦なので、2027年までにはできない。
そのため、心理戦に持ち込んで、軍事力を行使せず、台湾が中国に併合されるように仕向けているのだと思う。
この心理戦が失敗すれば、2032年までに、軍事侵攻の可能性が高くなる。
台湾海上封鎖作戦
2022年8月4日からの中国軍は台湾を取り囲むように軍事演習を行った。これは台湾の海上封鎖を想定したものと思われる。
しかし、中国軍が台湾を海上封鎖しても、アメリカは無人輸送機や無人貨物船で台湾に物資を補給する可能性もある。
そして、中国軍がアメリカの無人輸送機や無人貨物船を攻撃すれば、アメリカ軍と中国軍の戦争に発展するだろう。
そうなると、アメリカ軍の原子力潜水艦により、中国海軍は1週間で壊滅する。
台湾を海上封鎖することは、アメリカとの戦争に発展する可能性があり、中国としても安易には実施できない。
尖閣と台湾の同時侵攻か?
中国が尖閣を狙う真の目的
結論
以下は過去記事
中国軍は、ペロシ米下院議長の台湾訪問に対抗して2022年8月4日から台湾を取り囲むように弾道ミサイルの発射を伴う大規模な軍事演習を実施した。
さらに、2022年8月15日にも中国軍は、アメリカの議員団の台湾訪問への対抗措置とし軍事演習を実施し、常態化しつつある。
2025年~2025年に台湾侵攻か?
中国の習近平主席が2022年10月の党大会で3期目の国家主席に選出されると、次の任期は2027年となる。したがって、習近平主席としては自分の任期の終わる2027年までには台湾を中国領としたい。
そこから逆算すると、中国が2025年~2026年にも台湾に侵攻する可能性がある。
2021年3月9日、米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン(Philip Davidson)司令官は上院軍事委員会(Senate Armed Services Committee)の公聴会で、今後6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性があると証言した。(筆者注・2021年から6年後は2027年)