中国経済の現状
2015年の中国の7~9月期の国内総生産(GDP)成長率は6.9%だった。
しかし、中国の統計は操作されているので、「鉄道貨物輸送量」、「電力使用量」、「銀行融資」から中国経済の実態を表す「李克強指数」を参考にすると、中国のGDP年率成長率は3.0%と推定される。
中国の個別の経済指標の軒並みマイナス圏
2015年9月、中国の自動車生産前年比-4.7%、中国の発電量前年比-3.1%であり、中国の経済成長6.9%とは整合性がとれない。
中国経済減速の原因 人件費高騰
1990年代、中国の人件費は日本円で月給が5,000円~10,000円だった。しかし、近年、中国の人件費が高騰してきた。
深センの最低賃金
年 | 最低賃金(元) | 最低賃金(月給 円換算) |
2011年 | 1,320元 | 2万4000円 |
2012年 | 1,500元 | 2万7000円 |
2013年 | 1,600元 | 2万8800円 |
2014年 | 1,808元 | 3万2500円 |
2015年 | 2,030元 | 3万7000円 |
これは最低賃金で、現実に支払われる平均賃金はもっと高い。東莞市では工場労働者の月給は4000元(7万2000円)となっている。
国際競争力を失った中国の生産性
一般に中国の労働生産性は日本の3分の1と言われる。つまり、中国の人件費7万2000円は日本の人件費21万6000円に相当する。完全に中国は国際競争力を失ったと言える。
なぜ中国の人件費は高騰したのか?
中国の経済成長で、GDPが大きくなると、汚職役人などが数千億円、数兆円という不正蓄財をするようになった。
その巨額の汚職マネーが中国の不動産、資源などに流れた。その結果、中国の不動産価格、食料品価格が上昇した。そのため庶民の生活は苦しくなり人件費の賃上げを要求した。
今後の予想
中国経済の減速の要因は人件費高騰、その原因は汚職役人の不正蓄財だ。習近平政権が汚職摘発しているも、不正蓄財が資源や食料品価格に結びつくからだ。
しかし、中国の汚職は根深く簡単には根絶できない。つまり、中国の汚職がなくならない以上、中国の物価は高止まりし、人件費も下がらない。
今さら中国の人件費が1~2割下がったしても中国に工場を建てる外国企業ない。再び中国に工場を呼び戻すには、中国の人件費が3割以上、下がることが必要。
しかし、賃金を3割下げると中国人の暴動が多発するためできそうにない。
中国政府ができる対策は人民元安に誘導して、外国から見て、中国の人件費が3割安くすること、工場ではなく、ソフトウエアなどのIT企業を育成することくらいだ。
しかし、いずれも実現性可能性は低く、中国経済は、このまま世界の工場の地位を失い、今後数年は徐々に経済が衰退するしかないだろう。
中国の汚職を完全になくすれば、中国経済は回復する可能性があるのも事実ではあるが、可能性は低い。
なぜ中国経済減速でも訪日中国人の爆買いが続くのか?
来日して、数百万円の買い物するのは、中国の役人や親族でなんらかの利権を持っていると思われる。
中国経済は減速しても、利権はなくならないから、彼らは、今後も来日し爆買いするだろう。
むしろ、中国経済が減速すればするほど、中国外に資産を持ち出す動きがあるので、不動産など資産を買い続けると思われる。
東京にマンションを買って、来日中国人を一泊1万円で宿泊されば、それで利益があがる。
旧ソ連崩壊時にはルーブルは信用をなくし、アメリカ製タバコが通貨として流通したと言われる。
中国経済が悪化するほど、万が一のとき、換金しやすい日本製品は今後も売れ続ける。
景気減速すれば、旅行や買い物を控えるのは日本人の感覚でしかない。日本人の感覚で中国人の行動を予想するのは間違いだ。