出典 Boeing社
航空自衛隊は、主力戦闘機F-15Jに「JASSM-ER」(射程約900キロ)などを搭載できるようにする改修を2027年度までに20機を行う予定だったが、初期費用が1,000億円を超える見通しとなり、改修費用の2021年度の予算化を見送る。
2019年度予算ではF-15Jの2機分の改修費として108億円(1機分54億円)を予算計上していた。
そこで、アメリカ海軍が2021年から実戦配備する「F/A-18ブロックⅢスーパーホーネット」を自衛隊も導入してはどうか?
「F/A-18ブロックⅢスーパーホーネット」にも「JASSM-ER」(射程約900キロ)を搭載できる。
- F414-GE-EPEエンジン推力を20%増強
- コンフォーマル・フューエル・タンクの装備
- エンクローズド・ウェポンポッドの搭載
- 電波吸収材(LO塗装 low observable)、エアインテーク形状改良によりRCS(レーダー反射断面積)を1㎡から0.5㎡に半減(F-15Jは25㎡)
- データリンク装備、ネットワーク性能はF-35C以上とも言われる
- JASSM-ER(射程900km巡航ミサイル)搭載可能
- 機体寿命を約10,000時間に延長
- F/A-18 ブロックⅢのアメリカ軍の調達数は78機(単座E型61機、複座F型17機)で調達金額は合計40億ドル(約4,400億円)、1機当たり5,600万ドル(約60億円)
- アメリカ海軍の艦上機は、F/A-18E/FとF-35Cが半数ずつとなる予定
2014年8月 | 試験飛行に成功 |
2020年6月17日 | F/A-18E(単座)とF/A-18F(複座)の合計2機をアメリカ海軍に試験飛行のため納入 |
2021年 | 就役予定 |
2046年まで | 運用予定 |
日本の航空自衛隊は早期警戒機「E-2C」やAWACS「E-767」を保有しており、400km以上離れた位置から中国空軍Su-30MKKを捕捉できる。そのため実戦となれば航空自衛隊F-15Jは、中国空軍のSu-30MKKに勝てると思われる。
しかし、スクランブルのように戦闘機が1対1で接近して対峙する場合、航空自衛隊F-15Jは旋回性能の高い中国空軍Su-30MKKに負ける。
現在、中国空軍機「Su-30MKK」は推力偏向ノズルを装備していないが、もし中国軍が推力偏向ノズルを搭載した「Su-30MK」を導入すれば、今のF-15Jでは全く対抗できなくなる。
このまま、F-15Jでスクランブルをして大丈夫なのか?
また、実戦で中国空軍の射程400km以上の超音速「空対空ミサイル」で早期警戒機「E-2C」やAWACS「E-767」が撃墜されればF-15JはSu-30MKKと戦えなくなる。
中国空軍パイロットに自衛隊に勝てると思わせると、中国空軍パイロットが個人の判断で日本との突発的な局地戦戦を安易に始める危険性がある。
平和のためにこそ、F-15Jよりも強力なスクランブル用戦闘機が必要だ。
F-15JのRCS(レーダー反射断面積)は25㎡であるが、F/A-18ブロックⅢは0.5㎡まで小さくなっている。やはりF-15Jの設計思想は古くなっている。
中国軍の膨張政策により、航空自衛隊「那覇基地」のスクランブル発進回数が高止まりしている。スクランブルの回数は全国の自衛隊全体で年間約1,000回でそのうち那覇基地は約800回となっている。
しかも、実は「対空」緊急発進のみを「スクランブル」といい。「対艦」緊急発進は「スクランブル」とは言わない。例えば、尖閣列島領海に中国艦船が侵入した場合もF-15Jは緊急発進しているが、「対艦」であるため「スクランブル」の集計には含まれていない。
「対艦」緊急発進も含めれば、スクランブルは年間2,000回近いと思われる。
航空自衛隊「那覇基地」には2飛行隊(第204飛行隊、第304飛行隊)の合計40機F-15Jが配備されており、スクランブルにもF-15Jが使用されている。
今後、航空自衛隊はF-35A(空軍型)を105機、F-35B(短距離離陸・垂直着陸)を42機の合計147機を導入する予定だ。
しかし、那覇空港のF-15Jは40機であり、F-35Aで代替すると残りのF-35Aは65機となり不足する。しかも、F-35Aをスクランブルに使用すると中国軍にその性能を解析される可能性があるし、ステルス機のため中国軍に発見されず予想外に接近してしまう危険性がある。
またF-2戦闘機の保有数は88機であり、そのうち40機をスクランブルに使用することは現実的ではない。
さらに、戦闘機の運用時間は有限であり、スクランブル(緊急発進)は機体への負荷も高い。数年間もスクランブル運用すると実戦のときに100%の性能を出せなくなる可能性もある。
そのため、2030年頃にF-15Jが運用できるかどうか不安な面もある。
そこでアメリカ海軍が2021年から実戦配備する「F/A-18E/F ブロックⅢ」をスクランブル用に60機調達し、40機を那覇空港に配備し、残り20機を訓練用に使用してはどうか?
それが無理ならば、20機だけでも試験導入してはどうか?
アメリカ軍はF/A-18E/F ブロックⅢを1機当たり1機当たり5,600万ドル(約60億円)で調達しており、日本が導入する場合は1機80億円~100億円になるかもしれない。
しかし、アメリカ海軍は2046年まで運用する計画で、航空自衛隊も今後20年以上スクランブル用に使用できる。
実はアメリカ軍でさえ、すべての戦闘機を高価なステルス機だけで編成することはできない。
アメリカ海軍は、F-35C(空母型)で航空優勢(制空権)を確立したのち、第2派攻撃としてF/A-18を使用する計画だ。
アメリカ空軍も、2040年までは、F-22、F-35Aで1次攻撃をし、その後はF-15Eで2次攻撃をする戦術だ。
日本の航空自衛隊はF-35A(F-35B)、F-15J、F-2、と3機種の戦闘機を保有している。新にF/A-18を導入すると4機種になって、整備人員やパイロットが不足するかもしれない。
現実的には、F-15J(後期型)を2035年くらいまでスクランブル運用せざるを得ないかもしれない。
しかし、至近距離まで接近するスクランブル運用で、単機性能とは言え中国空軍機Su-30MKKに簡単に後ろを取られてしまうF-15Jを使用し続けていいのか?
さらに、2040年頃でも、航空自衛隊はすべての戦闘機をステルス機にすることは予算上できないと思われる。そのためアメリカ軍のようなハイローミックスで戦闘機の数を揃える必要がある。そのローの戦闘機としてF/A-18ブロックⅢは最適と思われる。