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国際情勢・防衛

ミーティア空対空ミサイル新型、日英共同開発へ

2017/11/24

2017年11月24日、日経新聞は「日本と英国両政府は2018年度に、戦闘機に搭載する新型の空対空ミサイルの共同開発に乗りだす」と報じた。

この新型ミサイルとはイギリスなど欧州6か国開発した「ミーティア」ミサイルで、これに日本の誘導技術を組み合わせることになる。

ミーティア」は射程200kmの長距離の空対空ミサイルだが、目標への誘導精度が悪い。

そこで、日本の高性能空対空ミサイルAAM-4の誘導技術を導入しミーティアの誘導精度を向上させるのが、この共同開発の狙いだ。
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主な空対空ミサイルのスペック

ミーティア AAM-4 AIM-120(アムラーム)
製造国 イギリス等 日本 米国
射程 200km以上 100km以上 50km~100km
直径 17.8cm 20.3cm 18cm
全長 365cm 366.7cm 365cm
重量 185kg 220kg 152kg
速度 マッハ4 マッハ4-5 マッハ4
価格 1億5000万円 1億4000万円 1億円~2億円

空対空ミサイル「ミーティア」の特徴は、射程200km以上という世界的にも最も射程が長い空対空ミサイルの一つだ。

しかし、目標への誘導にはタレス社製シーカーを使用しており、アメリカ製AIM-120よりも命中精度が悪い。

これに対して、日本のAAM-4(99式空対空誘導弾)は三菱電機製AESAレーダー(フェーズドアレイレーダー)を搭載しており、アメリカのAIM-120に匹敵する命中精度と言われる。

 

共同開発の経緯

2014年4月、日本政府は武器輸出三原則に代え、防衛装備移転三原則を制定した。これを受け、2014年7月にイギリスとのミサイル共同開発が決定した。

日本のAAM-4の直径は20.3cmとアメリカ製AIM-120の18cmよりも太く、また、翼も大きいためF-35に搭載できない可能性がある。

そこで、直径が17.8cmとF-35に搭載可能なイギリス製「ミーティア」ミサイルにAAM-4のシーカーを搭載し、共同開発することになった。

この共同開発ミサイルは「JNAAM」(ジョイント・ニュー・エアトゥエア・ミサイル)と呼ばれる。

F-35に搭載可能であることから、全世界に輸出可能であり、量産効果でコストを下げることが期待される。

 

開発のポイント

AAM-4のAESAレーダーは、直径が大きく、そのままでは「ミーティア」には搭載できない。

したがって小型化しないといけないが、そうすると素子数が減少し、命中精度が落ちる。

この共同開発のポイントは、三菱電機製AESAレーダーを小型化して、性能を落とさないようにすることだ。

従来、AAM-4のAESAレーダーにはガリウム・砒素(GaAs)が使用されていたが、共同開発では、窒化ガリウム(GaN)素子を使用することで、従来の3倍の性能となる。

つまり、従来よりも3分の1の面積まで小型化できる。

 

今後の展開

正確に言うと日英の共同研究は平成29年に終了した。

2017年11月24日、日経新聞によると、2018年から日英の共同開発がスタートする見通しとなった。

改良型ミーティアミサイルは、三菱電機の最新の窒化ガリウム(GaN)素子AESAレーダーを搭載し、レーダー面積を小型化しながら、従来機よりも2倍~3倍の性能となる。

さらに射程についても320km~400kmという世界に類のない空対空ミサイルとなる可能性がある。

 

ミーティアの射程はなぜ長いのか?

通常の空対空ミサイルは固体燃料と酸化剤で推進する。しかし、燃焼時間は10秒程度でマッハ4~5まで加速する。その後は滑空して徐々にスピードを落とし目標物に到達する。

しかし、ミーティアは「デクテッドエンジン」を採用している。固体燃料のみを搭載し、酸化剤は搭載していない。ミサイルに吸入口を設け、空気を取り込み、固体燃料を燃焼させる。

酸化剤を搭載しないので、その分、固体燃料を多く搭載でき、射程が伸びる。

デメリットとしては、燃料がなくなると、空気吸入口が空気抵抗になり急速に速度が落ちる。

 

尖閣防衛でもメリットが大きい

中国空軍が第四世代戦闘機を730機保有しているが、日本の自衛隊はF-15J(近代化改修機)とF-2の合計約190機しかない。

戦闘機の数では、日本は劣勢になっている。そこで、日本の航空自衛隊はE-767(AWACS)のレーダー探知距離800kmを生かして、中国戦闘機のミサイル射程外から空対空ミサイルで中国機を攻撃するしかない。

そのため、射程の長い空対空ミサイルが必要だった。改良型「ミーティア」の射程が320km~400kmまで伸びれば、尖閣上空に侵入する中国機を那覇基地周辺から空対空ミサイルで攻撃できることになる。

2018年にも最新型早期警戒機E-2D(レーダー探知距離560km)4機の引渡が始まる予定だ。

この機材が、那覇基地に配備されれば、中国に対しても空軍力で自衛隊の優勢を維持できる。



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