北朝鮮の核実験
2016年1月6日に北朝鮮が核(水爆)実験を行ったとされる。爆発の威力は広島型原子爆弾の半分程度とされる。北朝鮮は2013年2月に核実験を行っている。
水爆と原子爆弾の違い
原子爆弾は核分裂、水爆は核融合反応を使う。ただし、核融合反応を起こすには高温、高圧の状態にしないといけないので、水爆の起爆として原子爆弾を利用する。
今回の水爆実験が成功したかどうかは不明だが、すくなくとも起爆装置としても小型化した原子爆弾の爆発は確認された。つまり、北朝鮮は原子爆弾の小型化に成功したと可能性がある。
また、水爆ではなく、ブースト型核分裂爆弾(強化型原子爆弾)の可能性もある。
弾道ミサイルに搭載するには1トン以下
北朝鮮のロケット「銀河3号」は3段ロケットで500kg~600kgの衛星を1万km以上飛ばす能力がある。したがって核弾頭を1トン以下にすれば、2,000km程度の射程は十分に到達可能だ。
もし核弾頭を500kg~600kg程度の小型化に成功すると射程は1万kmとなり、アメリカ本土も射程に入って来る。
潜水艦発射ミサイル(SLBM)に搭載か?
北朝鮮は2015年5月と11月に潜水艦発射ミサイル(SLBM)発射実験を行った。
北朝鮮は1993年に旧ソ連製ゴルフ級潜水艦(2,800トン)を10隻程度輸入した。この潜水艦を研究し、新浦(シンポ)級潜水艦(2,000トン、全長約70m)を建造したとされる。
北朝鮮のミサイルは旧ソ連のSLBMの改良
北朝鮮の中距離ミサイル「ムスダン」(射程3,000~4,000km)は旧ソ連の潜水艦発射ミサイルSLBM(R-27)の改良型のため、ムスダンをSLBMに改良することは十分に可能で2~3年で完成するとの専門家もいる。
核搭載SLBMは4~5年後か?
核弾頭の小型化と中距離ミサイル「ムスダン」のSLBM化は4~5年後に完成するとの見方がある。
なぜ潜水艦発射ミサイルSLBMなのか?
陸上発射型弾道ミサイルの場合、アメリカなどの偵察衛星で24時間監視されており、発射準備の段階で相手国にわかってしまう。
しかし、潜水艦発射ミサイルSLBMなら水深300mからミサイルを発射するのでアメリカなども探知しにくい。
日本の防空識別圏外の北朝鮮の潜水艦は探知できない?
北朝鮮の潜水艦が日本の防空識別圏外に潜航している場合、自衛隊のPC-3 P-1対潜哨戒機では探知できない可能性がある。
北朝鮮の潜水艦を探知するためには韓国の防空識別圏内で自衛隊のPC-3やP-1対潜哨戒機が作戦行動できる環境整備が必要。
まとめ&補足
テレビの解説者は北朝鮮の技術を軽視している。北朝鮮の中距離ミサイル「ムスダン」(射程3,000~4,000km)の原型は旧ソ連の潜水艦発射ミサイルSLBM(R-27)なので、容易にSLBMに改造できる。
早ければ2年以内に完成する可能性がある。