米日豪韓で対中国の軍拡に対抗しているのに、この発言は外交音痴と言われてもしたかない。また在日米軍の駐留経費の日本側負担が6,700億円ということも知らないようだ。
在日米軍経費内訳(2014年) | 億円 |
労務費 | 1,381億円 |
光熱費 | 249億円 |
提供施設整備 | 213億円 |
基地周辺対策費 | 1,808億円 |
基地交付金 | 388億円 |
基地土地の賃料 | 1,665億円 |
在日米軍再編費 | 909億円 |
SACO経費 | 120億円 |
合計 | 6,733億円 |
しかし、トランプ氏はビジネスマンだから、日本が毎年約7,000億円も負担していることを知れば政策を変更する可能性もある。
もちろん、日本により大きい負担を求めるかもしれない。しかし、在日米軍縮小により、日本は長距離ミサイルや巡行ミサイルの導入も可能となる。したがって、日本の防衛力は飛躍的に高まる。
これは100年に一度のチャンスだ。戦後、はじめて日本が自主的に防衛政策を立案できる状態になる。
中国も在日米軍縮小は勢力域拡大のチャンスと思うだろう。したがって、日中の対立は激化する可能性がある。それは、逆に、安倍政権の憲法改正などの政策が実現しやすくなる。日本は中国の勢力拡大を利用して、普通の国のような安保体制を取ることができるようになる絶好のチャンスだ。
翁長沖縄県知事は沈黙
翁長氏にとっても、在日米軍撤退は好都合なはずだ。辺野古移転も中止になるし、普天間基地も返還される。翁長氏はアメリカまで行って、在日米軍の縮小を要望していたのに、今回のトランプ発言にはなぜか沈黙している。
翁長氏は基地の経済効果を5%と評価
翁長氏は「米軍基地の経済への影響については、県民総所得に占める基地関連収入の割合を示し、日本復帰の1972年は15・5%だったのが2012年は5・4%に減っている」とした。
平成22年~23年(2011~2012)の沖縄県の産業別収入
農業生産 | 800億円 |
水産業 | 150億円 |
土木建築 | 5500億円 |
観光収入 | 4025億円 |
基地関連収入 | 2086億円 |
確かに観光収入が約4,000億円、基地関連収入が2,000億円と基地関連の方が少ない。しかし、観光収入は売上であり利益ではない。これに対して、基地関連収入のうち、軍用地代は、経費も人件費もかかならい利益である。
米軍人用の一戸建ての家賃は30~50万円。これは沖縄県那覇市の市街地ではなく、沖縄県中部のサトウキビ畑の周辺ので家賃だ。とてもありえないほど高い。米軍人家族はオフベース(基地の外)に住む場合、住宅手当がでるので、高額の家賃が支払えた。その住宅手当は日本政府が出したものだ。(現在では、オフベースに住む場合の住宅手当はでない傾向にある)
このように米軍関連収入は利益率がありえないほど高い。観光収入では利益率は10%程度なので、本当の経済効果という点では米軍関連収入は依然として沖縄経済を支えている。