レールガンとは
レールガン(railgun)は、電磁加速砲とも呼ばれ、2本の伝導体(レール)の間から、砲弾を発射するもので、火薬を使用して発射するのではない。
砲弾は基本的に鉄の塊で誘導装置もない。
速度
マッハ6という高速で発射できる。現行のミサイルの速度はマッハ3程度で、次世代ミサイルの速度はマッハ4~5とされる。
射程
現在のところ、レールガンの射程は約200kmだが、将来的に500kmも可能。
高度
現在のところ、レールガンの高度は約100kmだが、将来的に大気圏外も可能。
連射
1分間に10発の連射を開発目標にしている。
コスト
弾丸は、基本的に鉄に誘導体を巻き付けた構造で、発射時に、誘導体と鉄(砲弾)は分離される。簡単な構造のため、砲弾のコストは1弾200万円と予想される。
迎撃ミサイルは、誘導装置と固体燃料ロケットからなり、1発1億円~2億円と言われる。
電力消費
アメリカ軍の開発している大型のレールガンは2万5000kwという大量が必要とされる。
ちなみにイージス艦の発電機は2,800kwが3機なので、レールガンの発射だけで、発電機10機分の電力が必要となる。
実際には、常時2万5000kwの電力を発電する必要はなく、蓄電池に一度蓄電(チャージ)して、発射することになるだろう。
実用化
アメリカ軍は今後5年~10年で実戦配備予定で、試験的にズムウォルト級ミサイル駆逐艦に搭載される予定。
リニアとの関係
レールガンは、電磁コイルを利用しているので、リニア(超電導磁石)とは直接の関係はない。しかし、リニアの周辺技術を応用してレールガンを改良することは十分可能だ。
そういう意味で、日本のリニア技術とアメリカのレールガン技術の統合は極めて有効だ。
日本の方針
防衛省は平成29年度(2017年)から「99式自走155ミリ榴弾砲」の代替として、レールガンを試作する予定だ。
開発目標は秒速2km(マッハ5.8)で、最終的な実用化は15年後~20年後となる。
ちなみに、「99式自走155ミリ榴弾砲」は毎分6発、射程40kmとされる。
アメリカ軍のレールガンは射程200kmと大型なのに対して、自衛隊は小型のレールガンを開発する方針だ。
課題
レールガン1基で2万5000kwの大量の電力が必要で、10基なら25万kwという発電所並みの施設が必要になる。これを動かすことはかなり困難になる。
誘導装置がないので、200km飛んだとしても命中精度が課題になる。大気圏外で敵の弾道ミサイルを迎撃することが可能なのか?
すくなくとも近接信管(VT信管)程度の装備は必要になる。