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イギリスが20年ぶりに原発建設を承認。ヒンクリーポイントC原発160万KW×2基

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イギリス政府、原発建設承認

2016年9月15日、イギリス政府はイギリス南西部サマセット州にヒンクリーポイントC原発(160万KW×2基)が建設することを承認した。

テリーザ・メイ首相は、2016年7月に、ヒンクリーポイントC原発の承認を延期していた。

それは、この原発には中国企業が出資することから、安全保障上の懸念があるとためとされる。

また、親中派と言われるイギリスのオズボーン前財務相が原発建設を推進したことから、メイ首相はイギリス政府の親中路線を修正するためにも「延期」したものと考えられる。

なぜ最終的に建設承認したのか?

イギリス政府はフランスとの関係を重視したようだ。ヒンクリーポイントC原発はフランス電力(EDF)が約66%、中国広核集団(CGN)が約34%出資する。

この原発建設を中止すれば、フランスとの関係悪化を招く可能性があった。イギリスのEU離脱でフランスとの関係が悪化している中、さらなら関係悪化は得策ではないとイギリス政府は判断した。

また、ヒンクリー原発は、中国企業が約34%出資するものの、技術的にはフランス電力(EDF)が開発した欧州加圧水型原子炉(EPR)であり、中国企業が開発したものではない。したがって技術的には中国企業の影響はないと判断された。

イギリス財務省政務次官辞任

2016年9月23日、イギリス財務省ジム・オニール政務次官が辞任した。メイ首相が原発建設を延期したことで、政策対立があったとされる。

テリーザ・メイ首相は、ヒンクリーポイント原発の建設を承認したが、中国よりの政策を取ったのではない。フランスとの関係悪化を避けるための現実路線をとったためと思われる。今後もメイ首相は、前政権の行き過ぎた親中路線を修正する動きがあるだろう。

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ヒンクリーポイント原発とは?

1965年にヒンクリーポイントA原発1号機(約27万KW)、2号機(約27万KW)が発電を開始したが2000年に運転を停止した。

1976年にヒンクリーポイントB原発1号機(約66万KW)、2号機(約66万KW)が発電を開始し、2016年にも運転を停止する予定。

今回建設されるのは、ヒンクリーポイントC原発(160万KW×2基)で2017年に着工、2025年に発電開始が予定されている。

中国企業が3分の1の建設費を負担する

ヒンクリーポイントC原発の事業主体はフランス電力(EDF)と中国の原子力企業、中国広核集団(CGN)の2社となる。イギリス企業は事業費が高いことなどから撤退しフランス企業と中国企業の合弁事業となった。

出資比率はフランス電力(EDF)が約66%、中国広核集団(CGN)が約34%となる。

史上最も高い原発

ヒンクリーポイントC原発はフランスが開発した欧州加圧水型原子炉(EPR European Pressurized Reactor)が採用され、その建設費は245億ポンド(約3兆5000億円)とされる。

出資比率通りなら、フランス電力(EDF)が、160億ポンド(2兆3000億円)負担し、中国広核集団(CGN)が85億ポンド(1兆2000億円)を負担することになる。

この欧州加圧水型原子炉(EPR)は、フィンランド1基、フランス1基、中国2基の合計4基が建設中で、今回イギリスでの建設を含めると6基が建設中となる。

中国の狙い

中国は日本やドイツから新幹線を輸入し、その後、海外の高速鉄道事業を受注している。原発についても、欧州加圧水型原子炉(EPR)を中国国内で建設中で、これをてこに海外に輸出しようとしている。

しかし、まだ技術的に中国単独で原発建設できる水準にはなく、フランスとの合弁事業となった。

日立、東芝の動き

日本の原発メーカー、日立と東芝もイギリス国内で原発建設をすすめている。具体的には、日立は現在イギリスで4基の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を建設予定で総建設費3兆円のうち、約4割(1兆2000億円)を受注する予定。東芝はイギリス国内で建設予定の加圧水型原子炉3基の受注を目指している。

今回、ヒンクリーポイントC原発の建設が承認されたことで、日立、東芝にとっても追い風となる可能性がある。

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