2017年2月9日、トランプ大統領は中国の習近平主席と電話会談して、「一つの中国」を認めた。
トランプ氏は2016年12月3日、台湾の祭英文総統と電話会談し、「一つの中国」という考えに縛られないと発言していた。
一体、何があったのか?
一見、トランプ大統領の行き当たりばったりの政策変更のように見える。しかし、実は、トランプ大統領のシナリオ通りに進んでいるのだ。
まず、2016年12月3日、台湾の祭英文総統と電話会談したときは、トランプ氏の外交指南役キッシンジャー氏が中国・北京で習近平主席と会談した。
つまりトランプ氏は、中国と台湾と同時に接触していたのだ。
2つの中国ルート
トランプ大統領は2つの中国ルートを持っている。
- 「キッシジャー」(元国務長官)ルート
- 「ウェンディ・デン」(元マードック氏中国人妻)ルート
今回はどのルートを使ったのだろうか?
やはり、2016年12月3日にキッシンジャー氏と習近平主席が会談していることから、キッシジャー・ルートで中国と接触していたと考えられる。
その中で、ステーブン・シュワルツマン氏がなんらかの動きをしていた可能性がある。
ステーブン・シュワルツマン氏はユダヤ人で、キッシンジー氏、トランプ大統領の娘婿クシュナー氏も同じユダヤ人だ。この3人のユダヤ人は何らかの人脈でつながっている可能性がある。
ステーブン・シュワルツマン氏は投資会社ブラックストーンの創設者で、中国企業はブラックストーンの株式を3,000億円で取得してる。
どんな取引があったのか?
今回、米中間でどんな取引があったかは、はっきりしない。しかし、下記の3項目が考えられる。
- アメリカが台湾に66機のF-16戦闘機を売却する
- 中国が南シナ海への海洋進出について譲歩する
- 中国が為替、対米貿易赤字について譲歩する
したたかなトランプ大統領
トランプ大統領が「一つの中国」を認めたのは2017年2月9日で、日本の安倍首相がワシントンに到着する直前だった。
トランプ大統領は、中国の習近平主席と「一つの中国」で合意することで、日本に対しても交渉上で有利に立つことができる。
トランプ氏は、2016年12月3日に、台湾の祭英文総統と電話会談した時から、今回のシナリオを考えていた。
また、アメリカ国内向けには、2016年12月3日、大統領就任前の「民間人」の意見として「一つの中国」は認めないと言ったことにできる。
2017年1月20日、アメリカ大統領に就任した後は、「大統領」としてアメリカの従来の外交方針通り「一つの中国」を認めたと言い訳できる。