沖縄タイムスより引用
2015年の観光客数は776万3千人、観光収入は5913億1500万円。(中略)一方の基地従業員の所得や軍用地料、米軍関係者の消費支出を合わせた「基地関連収入(軍関係受け取り額)」は(中略)2013年の2088億円
沖縄タイムスの記事の主張は、「観光収入は約5,900億円で基地関連収入は約2,100億円だから、基地は沖縄経済への貢献度は低い」ということだろう。はたして、そうなのか?
売上と利益を同列に比較している
記事では、観光収入と言っているが、正確には「売上高」であって、利益ではない。観光業界の利益率を売上の10%とすると、実際の利益は約5,900億円の10分の1の「590億円」でしかない。
一方、基地関連収入の項目の一つ「軍用地代」は2015年で986億円に達する。この986億円は、「売上」ではなく、地主の「収入」になる。
また、米軍基地には約2万5000人の日本人従業員が働き、その人件費の総額は1,463億円になる(日本政府負担分)。これも「売上」ではなく、「給料」の総額である。
給料総額で比較すると
ホテル業界の人件費率は約15~20%と言われる。沖縄の場合、最低賃金も低いので人件費率は15%と推定される。観光売上5,900億円の15%が人件費とすると、約885億円となる。
基地関連収入の、軍用地代986億円、基地従業員給料総額1,463億円の合計2,451億円が沖縄人の生活費になっている。
観光関連給料総額(推定) | 約885億円 |
基地従業員給料総額 | 1,463億円 |
軍用地代 | 986億円 |
軍用地主4万人の生活はどうなる?
沖縄の軍用地主は4万人で軍用地代は年間986億円だ。つまり1人当たり平均年間約246万円の収入になっている。沖縄の場合、大家族なので1地主の収入で一家4人が生活することも多い。
もし基地がなくなると軍用地主と家族約16万人の生活はどうなるのか?
基地従業員の生活は?
沖縄の日本人基地従業員2万5000人で4人家族とすると、家族を含めと基地関係者は約10万人になる。基地がなくなると彼らの生活はどうなるのか?
まとめ
沖縄には軍用地主4万人、基地従業員2万5000人がいる。基地なくなると、直接にはこの6万5000人の生活が立ち行かなくなる。家族を含めると約20万人~30万人が失業状態になる。そうなれば沖縄経済の破綻と言っていいレベルの惨事だ。
さらに言えば基地があるため、沖縄振興予算が年間3000億円が沖縄に交付されている。もし、この予算がなければ、沖縄の公共事業は立ち行かない。観光客が増加したのは、沖縄道や国道58号線の拡張、バイバス工事、沖縄モノレールなどのインフラが整ったことが理由の一つだ。
基地がなくなれば、社会インフラの整備も遅れ、観光客の受け入れ能力も少なくなる。