- 防衛省は、2035年に配備予定の日本の次期主力戦闘機の開発主体として三菱重工業と正式に契約をした。(2031年に量産体制の確立を目指す)
- 三菱重工業が開発のとりまとめを行うことで、日本主体の開発を維持し、海外のエンジンメーカーなどが協力することになる。
- 海外企業として「ロッキード・マーチン」が技術支援を行う。ちなみには「ロッキード・マーチン」はF-35の開発企業。
- 三菱重工業の愛知県内の工場が開発拠点となり、川崎重工業、IHIなどの技術者500人体制となる見通し。
会社名 | 分担分野 |
三菱重工業 | 設計・システム統合 |
ロッキード・マーチン | 技術支援 |
IHI | エンジン |
三菱電機 | ミッションシステム |
東芝・富士通 | レーダー |
SUBARU | 機体 |
- イギリスが2025年頃から開発する次世代戦闘機「テンペスト」とエンジン部品などを共通化しコストダウンすることも検討されていたが、見送られた可能性が高い。
- 「テンペスト」のエンジンを開発する「ロールス・ロイス(英)」は、日本の次期戦闘機(F-3)への参画に意欲を示しているが、実現の可能性は低い。
- 国際共同開発から一転、国産開発に変更になったのは、米中対立の激化が原因かもしれない。
- だとすると、2035年にF-3が就役し、2040年に90機配備予定なので、アメリカは2040年~2050年に米中戦争が起こることを覚悟したかもしれない。
- そうなると、ロシアのSu-57を凌駕する性能が開発目標になるかもしれない。
- 日本政府はF-3次世代戦闘機をスクランブル対応に使用する計画で、F-35よりもパワーのあるエンジンと、より多くのミサイルを搭載すると思われる。
従来の国際共同開発の経緯・概要
当初、2018年度に次期国産ステルス戦闘機F-3を独自開発するか、それとも他国との共同開発にするかを決定する予定だった。
しかし、正式な発表はなく先延ばしになっていたが、三菱重工の単独契約を基本としながらもイギリスやアメリカの企業との共同開発の方向で進んでいる。
2018年度に、IHIは国産第5世代戦闘機用エンジン「HSE」(ハイパワースリムエンジン)の開発に成功し防衛装備庁に納入している。
したがって、技術的には日本単独でF-3戦闘機の開発はできるが、自衛隊の調達数が90機と少なく、1機当たりの開発費が高くなる。そのためコスト低減のために他国と共同開発が必要になってきている。
2020年4月1日、防衛装備庁は日本主導で次期戦闘機を開発する専属チーム(30人)を新設し、今後アメリカ、イギリスとの共同開発の枠組みを決定する計画だ。
機体はF-35型機よりも大型になると思われる。エンジン2基で自衛隊仕様はIHI製で、海外輸出仕様はロールス・ロイス製も選択できるようになるかもしれない。
さらにボーイングが開発中のレーザー兵器の搭載や無人機仕様も考えられる。また複数の小型無人機専用機をコントロールできるようになるかもしれない。
2020年4月18日、産経新聞は日米共同開発で最終調整と報じた。当初は日英共同開発に傾いていたが、イギリス企業に加え他のヨーロッパ企業も参加する可能性があり、日本が主導権をとれない可能性がでてきた。
一方、アメリカは当初F-22とF-35の折衷案を提案していたが、これを取り下げた結果、日本主導の開発ができる可能性がでてきたため、日米共同開発としイギリスは部品提供にとどまる方向で最終調整することになった。
- HSEの推力は1基15トンで、次期主力戦闘機F-3に2基搭載され合計30トンの推力となる。
- この新型高性能エンジンはアフターバーナー無しでスーパークルーズ(超音速巡行飛行)が可能となる。
- これは米軍のステルス戦闘機F-22のエンジン「F119-PW-100」並みの性能だ。
- HSEの開発ポイントは「圧縮機」「燃焼器」「超高圧タービン」の3ヵ所だ。ジェットエンジンは高圧縮、高温度にすればするほど、高い推力が得られる。
- そのため、各部品の耐久性向上と高温に耐える素材開発がポイントとなる。
- IHIは1800℃という超高温に耐える素材開発に成功し、2018年6月29日、IHIは「XF9-1」エンジンを防衛装備庁に納入した。
- 防衛装備庁で2019年度末までエンジン試験を完了したとされる。
i3Fighter(出典 防衛省)
- アメリカ軍の主力戦闘機F-22は1990年代から開発され、2003年に実戦配備された。
- 次期国産ステルス戦闘機F-3は2020年末までに国際共同開発の枠組みが決定し、2021年から基本設計に入り、2030年頃に試験機初飛行、2035年に実戦配備されると思われる。
- F-3はF-22開発時点よりも飛行制御ソフトウエア、レーダー吸収素材、継ぎ目のない外装加工精度、炭素繊維複合主翼などが進歩していると思われる。
- 具体的には、F-3はスマートスキンと言って、機体全体がレーダーの役割を果たし、後方から接近する敵機もレーダーで補足できる。
- したがって、総合的にはF-3はF-22の性能を凌駕すると予想される。もちろん、アメリカもF-22の後継となる第6世代戦闘機を開発するだろう。その第6世代戦闘機との比較では、やはりアメリカの方が高性能となる可能性が高い。
- しかし、アメリカの第6世代戦闘機の登場までの数年間は日本のF-3が世界一の高性能戦闘機となる可能性がある。
- F-3のプロトタイプと言われるものが、防衛省技術研究本部が公表した26DMUだ。ここから推定するとF-3の大きさはF-35とF-22の中間程度の大きさになると予想される。
- RCS(レーダー有効 反射面積)は、レーダーに映る面積のことで、これが小さいほど敵レーダーに捕捉されにくい。
- F-35で0.005㎡、F-22は0.0001㎡だが、実証機X2はF-22よりもRCSは小さいとされる。そのため次期戦闘機F-3もF-22を上回るステルス性能を持つと予想される。
機種 | RCS |
F-15 | 25㎡ |
Su-27 | 15㎡ |
F-16 | 1㎡ |
F-35 | 0.005㎡ |
F-22 | 0.0001㎡ |
X2(ATDX) | 0.00002㎡~0.00004㎡(推定) |
ステルス戦闘機は相手から見えないので、ドッグファイトは発生せず、高度な飛行性能は必要ないという考えがある。
しかし、それは、ステルス機と非ステルス機の戦闘の場合であって、ステルス機同士の戦いとなると、お互いにレーダー探知はできず、目視によるドックファイトになる可能性がある。その場合は、やはり飛行性能が勝敗を分けることになる。
ステルス機同士の空中戦の場合、ミサイルもレーダー誘導ではうまく補足できない可能性があるので、目視(光学的)で確認してミサイルを発射し、近接誘導は赤外線を利用したものになる可能性がある。
アメリカ軍は性能の高いF-15とコストの安いF-16の2機種を配備する「ハイローミックス」で費用対効果を高くしている。
これはF-22とF-35の関係にも言える。しかも、F-16やF-35は他国に輸出し戦闘機開発費用を軽減すると同時に他国との共同開発により他国の技術も吸収するという戦略を取っている。
今後、第6世代戦闘機が開発されても日本はハイローミックスのローの機種しか購入できない可能性がある。
そのためにもF-3は日本主導で開発する必要がある。
F-3の直接の開発費は8,000億円~9,000億円と言われる。これには第5世代用エンジンHSEの開発費は含まれないと考えられる。
F-3の全体の開発費は40年間の保守費用を含め4兆円という見方が多い。
ちなみに、かつて日本がF-22を購入しようとした時の価格は1機当たり約200~250億円だった。
仮にF-3の開発費・運用費が4兆円で100機製造するなら、1機当たりのコストは400億円程度になる。(導入コスト200億円+40年間の保守運用コスト200億円)
コストを下げるために、イギリス・アメリカとの国際共同開発をし、海外輸出も視野に入れていると思われる。
あくまでも国際共同開発の目的はコスト削減のため生産機数を増加させるためであり、日本主導で開発するため日本の開発費負担は70%~80%(2兆円~3兆円)と予想される。
イギリス空軍は第6世代戦闘機「テンペスト」の開発を2025年から開始する計画で、これにイタリアも参加し「テンペスト」の生産機数は400機以上となると見られる。
日本の次世代戦闘機F-3はこのテンペストとレーダー、ミサイル等の部品を共通化する可能性がある。但し、機体については日本独自設計になると思われる。
- エンジンはIHIが担当すると見られる。ロースルロイスが参画を表明していたが、実現の可能性は低い。
- 空対艦ミサイルは日本のASM-3改良型(射程400km)が採用されるのではないか?
- 空対空ミサイルは日英共同開発のミーティア改良型(射程300km)が採用されるとみられる。
- レーダーはF-2に搭載されている三菱電機製J/APG-2(Ga-N素子アクティブ・フェーズド・アレイ)改良型が採用される可能性がある。
- アメリカ・ボーイング社が開発中のレーザー兵器を搭載する可能性がある。
- 無人機モードで飛行できる可能性がある。
- 複数の小型無人機(ドローン)を戦闘機からコントロールできる仕様になるかもしれない。
- 2020年 日本主導の次世代戦闘機専属チームを防衛省内に新設
- 2021年 本格的な開発を開始
- 2024年 試作機製造開始
- 2031年 量産体制を確立
- 2035年 実戦配備
写真は2回目以降のテスト飛行
2016年4月22日、ステルス実証機X-2が初飛行した。
しかし、キャノーピーはT4練習機から流用、ランディングギア(前脚、主脚)はT2練習機から流用したものだった。
また、エンジン推力は1基5トン(2基合計で10トン)であり、F-16のエンジンの1基13トンよりも小さく、期待外れ感があった。
しかし、X-2は、そもそも、机上のステルス理論が正しいかどうかを「実証」する目的なので、コスト削減するため、既存部品を流用して組立ることは正解だったかもしれない。