トランプ大統領の対日政策の変化
トランプ大統領は、大統領就任前に「日本が在日米軍駐留経費を100%支払わないと撤退する」と発言していた。
しかし、2017年2月10日の日米首脳会談では、トランプ大統領は、「在日米軍を受け入れてくれて感謝する」と発言した。
なぜ、このような対日政策の変化があったのか?
トランプ大統領の中東政策
トランプ大統領の政策は、アメリカ第一主義だ。それに次ぐ、2番目の政策はイスラエル重視だ。
実際、トランプ大統領の娘婿はユダヤ人のクシュナー氏で、娘のイヴァンカ氏もユダヤ教に改宗している。さらに、トランプ大統領の外交指南役は、ユダヤ人のキッシンジャー元国務長官だ。
トランプ大統領のスタッフにはユダヤ人が多く、イスラエル重視の戦略が見え隠れする。イスラエルのアメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移転するのもイスラエス重視の現れだ。
なぜ、ロシアと協調するのか?
アメリカ東海岸(NY)から東を見れば、ヨーロッパがあり、その下に地中海がある。イスラエルは、地中海の奥にある。
アメリカ軍が、イスラエルを防衛する場合、地中海側に軍を展開できるが、イスラエルの東は手薄になる。
そこで、ロシアと協調しイスラエルを東からも防衛しようとしたのだ。
マティス国防長官は中東の司令官だった
マティス国防長官は2010年~2013年、アメリカ中央軍司令官だった。
この中央軍は、中東と中央アジアを担当する。つまり、イスラエル周辺を担当するスペシャリストだったのだ。
ここにも、トランプ大統領のイスラエル重視の姿勢が見える。
在日米軍の役割・評価
トランプ大統領は在日米軍の役割を単に「日本と東アジアを防衛する軍隊」と思っていた。しかし、マティス国防長官などから、在日米軍がアメリカ軍の中東への展開に非常に重要な役割を担っていることを知る。
実際1991年の湾岸戦争、2003年のイラク戦争でもアメリカ軍の一部は、在日米軍基地から出撃し、沖縄の基地は物資補給基地の役割を果たした。
トランプ大統領は、イスラエルを防衛するために、在日米軍が必要なことが分かったので「在日米軍を受け入れてくれて感謝する」という言葉になったのだ。
トランプ大統領の対中政策
トランプ大統領自身は、中国についてあまり関心がない。中国脅威論はアメリカの保守層の支持を広げるための選挙目的の発言にすぎない。
したがって、在日米軍を使って本気で中国を封じ込めする意図はない。むしろ、中国がイスラエル問題でアメリカに譲歩するなら、米中は協調する可能性すらある。
尖閣問題
2017年2月10日の日米首脳会談で、尖閣列島は日米安保条約第5条の適用範囲であると合意した。これは、アメリカ軍がイスラエルを防衛するために沖縄の米軍基地が絶対必要であることを意味する。
もし、尖閣列島に中国の基地ができれば、在沖米軍基地の脅威となり、イスラエルを防衛することの障害になると判断したのだ。
まとめ
トランプ大統領の優先順位は、1位「アメリカ」、2位「イスラエル」だ。在日米軍についてもイスラエル防衛のために必要だから重視しているにすぎない。
トランプ大統領の対中強硬姿勢は、アメリカの保守層の支持を得るためのもので、本来トランプ大統領は反中ではない。
それは、中国の代弁者であるキッシンジャー元国務長官を外交指南役としたことからも分かる。