北朝鮮は2017年11月30日に火星15型(11月29日発射)の映像を公開した。
それには、片側9輪の移動式発射台が映っていた。
この北朝鮮製「移動式発射台」(TEL:Transporter Erector Launcher)は、米軍に対北朝鮮戦略の見直しをしなければならないほどの衝撃を与えた。
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ある国連安保理関係者は「アメリカ軍は、北朝鮮で稼働している6台をたたけばミサイルを防げると考えている。
しかし、国産で大量配備できるようになれば、大変、深刻な事態だ」と話す。
引用 ANN http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000115678.html
アメリカ軍は、北朝鮮が保有する移動式発射台(片側8輪)の台数は6台と考えていた。
そして、すべて中国から輸入したもので、北朝鮮は国産化できないと考えていた。
そのため、北朝鮮はICBMを同時に最大6発しか発射できないと予想し、その前提で米軍はミサイル・ディフェンス(MD)を構築してきた。
しかし、今回の移動式発射台の国産化により、その前提条件が大きく変わったことになる。
アラスカ州配備の44基の迎撃ミサイル
米軍は2017年11月にアラスカ州に44基の迎撃ミサイルを配備した。
まず、この迎撃ミサイルの命中精度は1基の場合50%~60%と予想される。
しかし、1発のICBMに対して4基の迎撃ミサイルを発射した場合は命中率が97%まで高まる。
したがって、アメリカ軍は、北朝鮮のICBM6発同時発射の際に、6発×4基=24基の迎撃ミサイルを発射すれば、ほとんど迎撃できると考えていた。
北朝鮮・移動式発射台の国産化の影響
北朝鮮が移動式発射台の国産化に成功したことにより、アメリカ軍はより多くの北朝鮮のICBMに同時に対応しなければならなくなった。
現在、アラスカ州には44基の迎撃ミサイルが配備されているが、1発のICBMに対して4基発射するので、北朝鮮のICBM11発までしか対応できない。
北朝鮮の核弾頭数は50個~60個とも言われるが、小型化されていない核弾頭も含まれている。
したがって、「北朝鮮が保有している核弾頭」+「将来に製造する核弾頭」の合計は20個~30個と予想される。
つまり、アメリカ軍は北朝鮮のICBM最大30発を迎撃する体制を整える必要がある。
具体的には、北朝鮮のICBM1発に対して4基の迎撃ミサイルが必要なので、アメリカ軍は今後、120基の迎撃ミサイルを配備しないといけない。
現状では44基の迎撃ミサイルしか配備していないので、迎撃ミサイルが足りない状態にある。この状態でアメリカ軍が北朝鮮を先制攻撃すると、北朝鮮にICBMがアメリカ本土に着弾する可能性がある。
米軍の先制攻撃は2ヵ月程度はない?
北朝鮮が移動式発射台を国産化したことで、アメリカ軍は、北朝鮮が同時に何発のICBMを発射できるか分からなくなった。
当面はアラスカ州の迎撃ミサイルを増強するしかないと思われる。それが終わるまでは、アメリカ軍の先制攻撃の可能性は低いと思われる。