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豪次期潜水艦 仏企業受注、日本の「そうりゅう型」潜水艦は落選

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豪次期潜水艦はフランス企業との共同生産となり、日本の「そうりゅう型」潜水艦は受注できなかった。

はたして、その理由は何だったのか?

豪次期潜水艦選定の経緯

●2014年日本が武器輸出三原則に代わって防衛装備移転三原則を制定、同時期、豪も現行潜水艦コリンズ級の後継潜水艦建造方針を固める。

アボット首相(当時)とアンドリュース国防相(当時)は日本の「そうりゅう型」潜水艦を導入する方向。

●2014年秋ころ2015年にかけ、豪世論は自国産業保護の立場から「そうりゅう型」潜水艦の完成品輸入に反対の意見が上がる。その結果、2015年春に複数国の競争評価手続きへ変更される。

●2015年3月 豪が次期潜水艦選定手続きへの参加を日本、ドイツ、フランスに書面で要請。

●2015年5月 日本は「そうりゅう型」で豪潜水艦選定手続きへの参加表明した。

●2015年9月 アボット政権の通信相だったターンブル氏が辞任、党首選をアボット首相に要求、党首選の結果ターンブル氏が勝利し、豪自由党党首になり、2015年9月15日ターンブル政権が誕生した。

マルコムターンブル首相は、1994年に投資したハイテク企業を100倍以上で売却、資産約160億円の富豪で親中派とみなされている。

●2015年9月20日 「そうりゅう型」潜水艦導入に積極的なアンドリュース国防相を更迭、後任には豪初の女性国防相となるペイン氏を起用。

●2016年2月 中国の王毅外相は2月、豪州側に「日本は第二次大戦の敗戦国で、戦後の武器輸出は日本の平和憲法や法律の厳しい制約を受けている」と牽制した。(2016/4/5 産経新聞

●2016年4月 豪次期潜水艦受注で日本のそうりゅう型潜水艦が落選、フランス企業DCNS社が受注した。

 

フランスDCNS社案

「スコルペヌ型潜水艦」(排水量1,800トン)スペインとフランス製造で、インド、チリ、マレーシア、ブラジルに採用されている。

しかし、排水量が少ないので、フランスのシュフラン級原子力潜水艦(水中排水量5,300トン)の動力を通常型に変更したバラクーダ型潜水艦(排水量4,500~5,000トン)を提案している。

推定潜航深度は300~500mでそうりゅう型潜水艦の700~900mよりも性能は劣るが、中国の潜水艦よりは性能が上と思われる。建造はオーストラリア国内のアデレードの造船所となる予定。

 

日本のそうりゅう型潜水艦が落選した理由は中国の反対

中国の南シナ海に展開するSLBM搭載潜水艦は水深300m程度しか潜れないし、中国の魚雷は水深400mで水圧で圧潰する。

日本の「そうりゅう型」潜水艦は水深700~900mまで潜航でき、搭載している89式魚雷は水深900mから発射できる。

つまり、「そうりゅう型」潜水艦は、中国の潜水艦を一方的に攻撃でき無力化できる。

中国にとっては核力抑止力を失う可能性もある重大な問題だ。中国の強烈な反対工作があったと考えるのが普通だろう。

そもそも、ターンブル政権誕生は「そうりゅう型」潜水艦の豪導入を阻止するためのだったかもしれない。

というのは、2015年9月15日にターンブル政権が誕生、9月20日には「そうりゅう型」潜水艦導入に積極的なアンドリュース国防相(当時)を更迭、後任には女性のペイン国防相が就任した。

首相就任5日にして、「そうりゅう型」潜水艦導入を支持する国防相を更迭したのだ。

「そうりゅう型」潜水艦を導入しようとしていたアボット首相(当時)、アンドリュース国防相(当時)が相次いで地位を失うという不思議な動きだった。

ターンブル首相は「中国は豪は第二次世界大戦で共に日本と戦った同盟国」と発言し、また彼の息子は元中国社会科学院の国際法研究者の娘と結婚しており、親中派とみなされている。

 

今後の展開

フランスの潜水艦では中国の潜水艦を無力化するほどの性能を持っていない。したがって中国のSLBM搭載潜水艦による核抑止力は維持されるだろう。

今後、中国のSLBM(潜水艦発射ミサイル)の射程が現在の8,000kmから1万2000kmまで延長されると、中国は南シナ海から直接、米国本土を核攻撃できることになる。アメリカにとっては危機的状態となるだろう。

日本の潜水艦保有数は現行の18隻体制(16隻+練習艦2隻)から2021年までに24隻体制(22隻+練習艦2隻)となることが決定している。

しかし、それは日本周辺海域の防衛しかできない。南シナ海で中国の潜水艦と対峙するには、隻数が足りない。

アメリカは南シナ海の中国潜水艦に対処するため豪が「そうりゅう型」を12隻保有することを希望していた。しかし、オバマ政権のオーストラリアへの働きかけは弱かった。

もし、米大統領にトランプ氏が就任すれば、アジアに展開する米軍は縮小されると考えられる。

そのため日本の海上自衛隊が南シナ海で、中国の潜水艦と対峙する可能性がある。それには、日本の潜水艦保有数は30隻~40隻が必要となるだろう。

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