小池都知事の窮地
小池都知事は豊洲市場移転を延期し、地下空間の存在を国民が知ることになった。また、オリンピック施設の建設見直しで、現在の利権体質にメスを入れると期待され都民、国民の圧倒的支持を集めた。
小池都知事自ら主催した政治塾「希望の塾」は全国から約4,800の応募があり、約2,900人が入塾した。一見、順調に見える小池都政だが、次の一手が出せない手詰まり状態にある。
豊洲市場の誤算
豊洲市場に謎の地下空間があることが公表され、今までそれを隠蔽してきた都政に都民、国民の批判が集まり、小池知事の支持率は上昇した。
しかし、豊洲市場の安全性を完璧にするには半年程度の時間がかかる。一方、築地市場の地下には水爆マグロなどが埋蔵されていることが都民、国民が知ることにになり、築地市場の安全性が問題になる可能性がある。
そうなると、豊洲市場にも移転できず、築地市場の安全性も問題になってくると小池都政へ批判が噴出する可能性がある。
オリンピック・ボート会場の誤算
小池都知事は、オリンピックのボート会場を「海の森水上競技場」(東京湾臨海部)から「長沼ボート場」(宮城県)へ変更することを考えていた。
しかし、オリンピックのボート競技は、日本ではあまり人気がないが、ヨーロッパでは人気がある。国際オリンピック委員会(IOC)はヨーロッパ選出の委員が多く、ボート競技を重視しているため、東京オリンピックである以上「東京」以外の開催地は考えられない。
国際オリンピック委員会(IOC)がボート競技会場に「韓国」を候補とすると示唆したことは、「ボート競技会場は東京以外にありえない」との強い意思を示したものだ。
小池都知事はボート競技がヨーロッパで人気があることを知らなかったかもしれない。それはリサーチ不足であった。
ボート競技の会場変更を検討したが、結局、元通りの「海の森水上競技場」(東京湾臨海部)にするしかないが、そうなると都民、国民から失望される。
今後の見通し
現実的には豊洲市場へ移転するしかないし、オリンピックのボート競技場も変更できない。
その結果、都民、国民の小池都知事への支持率は下がるだろう。そこを狙って、自民党都連が小池都知事を攻撃する可能性がある。
窮地に追い込まれた小池都知事は、自ら主宰した政治塾「希望の塾」から2017年の都議会選挙立候補者を立てるしかない。そうなると、小池都知事は党組織を持たないので、日本維新の会に協力を求めるしかない。
維新の思惑
日本維新の会は、東京に拠点がない。小池都知事を取り込めば、東京、大阪、名古屋の三大都市圏に拠点を作ることができる。
松井大阪府知事は、「大阪維新の会」で橋下氏を党の顔として選挙でアピールした。東京でも小池都知事を東京の維新の会の顔として選挙戦を戦うと有利になると思っている。
最終的には、小池氏と橋下氏を党の2枚看板としてアピールし党勢を拡大した上で、自民党との連立政権樹立の可能性もある。
小池都知事にとっても、日本維新の会の党首(党幹部)となり、自民との連立政権ができるならば、女性初の首相の可能性もでてくる。
両者の思惑が見事に一致しているので、小池都知事が維新に合流する可能性は高い。