国際情勢・防衛

次世代「そうりゅう型」潜水艦を尖閣に投入、中国と全面対決へ

2018/03/13

出典 防衛省

海上自衛隊、最新鋭潜水艦29SS、建造へ

2016年8月、防衛省はリチウムイオン電池を搭載した次世代「そうりゅう型」潜水艦の建造費(760億円)を概算要求に盛り込んだ。

これで、2017年度(平成29年度)にも次期新型潜水艦の建造が開始され2021年度(2022年3月)に就航する見通しとなった。

次世代「そうりゅう型」潜水艦はAIP(非大気依存推進装置)を廃止し、リチウムイオン電池を搭載するが、それだけではない。

そこには、防衛省が、本気になって尖閣列島を中国軍から防衛する意思が見える。

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次世代「そうりゅう型」潜水艦の開発目標

現行「そうりゅう型」の1番艦~10番艦はAIP(非大気依存推進装置)を搭載している。

しかし、このAIPでは水中速度が時速9kmと遅く、また設置面積が大きいため、居住スペースを圧迫していた。

そこで新型潜水艦は大容量リチウムイオン電池を搭載し、水中速度の向上と居住スペースを確保することにした。

同時にさらなる性能向上のため燃料電池を搭載する可能性もある。

 

尖閣周辺海域での「そうりゅう型」潜水艦の弱点

尖閣列島は東シナ海の大陸棚の末端に位置し、その周辺海域の水深は浅い。具体的には、尖閣列島の北側は水深100m~200mの浅い海が中国大陸まで続く。

一方、南側は尖閣から12km沖で水深500m、15km沖で水深1,000mと急激に深くなっている。

水深100m~200mの浅い海では、「そうりゅう型」潜水艦でも敵に発見される危険性がある。

したがって、そうりゅう型潜水艦は水深の深い尖閣南側の海域から、尖閣の北側に隠れる中国艦船を攻撃することになる。

魚雷は速くても時速120kmなので、20km先の敵に到達するまで約10分かかる。その間、敵艦艇は4~5km移動することができるので、魚雷は最終誘導を自律的にする必要がある。

しかし、「そうりゅう型」に搭載する「89式魚雷」は、尖閣列島北側のような浅い海では、岩礁など障害物を目標と誤認する可能性がある。

そのために、浅い海でも正確に自律誘導できる新型魚雷が必要になった。

 

新型潜水艦の尖閣対応装備

新型潜水艦は、尖閣列島で中国軍との決戦を念頭に、水深200m以下の東シナ海に対応する。

1 新型魚雷「G-RX6魚雷」

まず、浅い海でも中国艦船を撃沈できる新型魚雷を開発した。それが「G-RX6魚雷」で現行の「89式魚雷」の次世代モデルとなる。有線誘導と自立誘導で命中率を向上させる。

敵の囮(おとり・デコイ)装置を回避し敵艦に命中できる。また、地形が複雑な浅海域から深海域まで対応する万能魚雷となる。

平成30年度に実戦配備される予定で、新型潜水艦の就役予定平成33年度には十分に間に合う。

 

2 次世代音響(ソナー)システム

艦首型アレイ(BOW ARRAY)、えい航型アレイ(TOWED ARRAY)、側面型アレイ(SIDE ARRAY)の各ソナーからの信号を処理し敵艦艇の運動解析を自動的に行い、戦闘指揮のレコメンドを行う高度なシステムを採用する。(SIGNAL PROCESSOR)

 

3 低騒音性の向上

流体雑音低減型潜水艦船型の研究試作を行っており、大型化する新型潜水艦でも静穏性を維持できる。また浮甲板構造も採用する。

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次世代「そうりゅう型」潜水艦

次世代「そうりゅう型」潜水艦(29SS)は、まったくの新型潜水艦となる。

しかし、いきなり、新設計するのではなく、まず「そうりゅう型」潜水艦11番艦で改良を実施する。

具体的には現行「そうりゅう型」潜水艦のAIP(非大気依存推進)を廃止し、リチウムイオン電池を搭載する。

この経験を基に新型潜水艦29SSを建造する。

リチウムイオン電池搭載の「そうりゅう型」11番艦の建造費は643億円で、新型潜水艦は760億円と127億円高い。

従来、潜水艦の建造費が増加する場合、船体が大型化されることが多かった。もちろん新型艦の開発費なども含まれると思われるが、127億円という大幅な増額なので、船体を大型化する可能性がある。

 

新型艦の魚雷搭載本数は?

現行の「そうりゅう型」潜水艦には20本の魚雷やハープーンが搭載されていると思われる。通常であれば十分な魚雷本数だ。

しかし、中国艦艇50隻~100隻が尖閣に飽和攻撃を仕掛けてきた場合、魚雷を打ち尽くせば、一旦、佐世保や呉の母港、あるは潜水艦母艦まで戻らないといけない。

そのため新型潜水艦29SSは船体を大型化して魚雷本数を24本~30本搭載する可能性がある。

 

VLSは搭載されるか?

尖閣での中国軍との対決の場合、日本の潜水艦は水深1,000mの深い南側に展開、中国軍は北側の水深100m~200mの海域に展開する。

海自が魚雷攻撃する場合、中国軍艦は尖閣の影に隠れて攻撃しにくい。

新型潜水艦は船体を大型化すると予想されるのでVLS(垂直発射装置)を搭載して、長距離ミサイルを搭載する可能性はある。

しかし、現行「そうりゅう型」潜水艦でも、魚雷発射管から対艦ミサイル「ハープーン」(射程約280km)を発射できるのでそれで対応するだろう。

したがってVLSの搭載は今回は見送りと予想される。

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リチウムイオン電池

リチウムイオン電池は、潜水艦用主蓄電池(SLH)と呼ばれジーエス・ユアサ テクノロジー製(GYT)が2017年3月から量産を始め、2018年夏に納入すると公表された。

 

永久磁石同期モーター

従来型モーターの回転子はコイル(銅線)を巻いていたため、大出力にすると発熱量が大きくなるという欠点があった。

しかし、コイル(銅線)を永久磁石に置き換えると電気を流す必要がなくなり、発熱量も少なくなり、消費電力も低下するというメリットがある。

また、発熱量が少なくなったことで密閉型モーターとなり、騒音やメンテナンスの点で有利となる。

この永久磁石を回転子に使ったモーターは「永久磁石同期モーター(Permanent Magnet Synchronous Motor:PMSM)」と呼ばれ、世界で初めて東芝が開発した。

ネオジム(レアメタル)、鉄、ホウ素化物で強力な永久磁石を作ることができる。

2006年頃から鉄道車両用モーターに採用されており、エネルギー変換効率が90%以上と従来型の誘導電動機よりも約40%も向上した。

この永久磁石同期モーターは密閉できるので次世代潜水艦の騒音レベルは約10dB程度低減できると予想される。

 

ケーブルセンサー網

潜水艦は水中にいる場合、外部と通信ができない。しかし海上自衛隊は日本近海にケーブルセンサー網を張り巡らせ、水中の潜水艦と通信していると言われる。

沖縄県うるま市海上自衛隊沖縄海洋観測所から2本の海底ケーブルが敷設されており、1本は尖閣諸島方面、1本は本土方面に伸びている。

これを利用すれば、E-767、P-3C、E-2Cが敵艦艇の位置を捕捉し、水中の潜水艦とデータリンクすることで、そうりゅう型潜水艦から、対艦ミサイル「ハープーン」を発射できる。

この場合、そうりゅう型潜水艦は、アクティブソナーなどを発することなく、敵艦艇の位置を把握し、魚雷やハープーンを発射できる。

中国艦艇が日本近海に接近すると自衛隊が中国艦船の位置を把握し、ケーブルセンサー網を通じて、24時間体制で警戒監視をしている「そうりゅう型」潜水艦に連絡し、いつでも中国艦艇を撃沈できる状態になる。

しかし、潜水艦の魚雷搭載本数は1隻当たり20発と予想されるので、2隻で40発、3隻で60発しかない。

中国艦艇が100隻以上で飽和攻撃を仕掛けてきた場合、現状の潜水艦数では魚雷が不足する。

海自潜水艦22隻体制になれば、尖閣諸島には潜水艦部隊2個隊(潜水艦4隻~6隻)が割り当てられると予想される。

しかし、潜水艦を運用するには年間数か月の補修期間が必要なので、実際に常時配備できるのは3隻~4隻にとどまる。

やはり日本列島を防衛するには潜水艦40隻は必要だ。

 

まとめ

現行「そうりゅう型」でも中国軍に十分勝てるが、新型潜水艦は、尖閣列島北側水域の浅海域(水深100m~200m)でも能力を発揮できるよう開発されている。

さらに、密閉型の永久磁石同期モーター(PMSM)搭載により、静粛性が高まり、敵に発見されにくくなる。

次世代音響(ソナー)システムの採用により、敵探知を自動化し、敵潜水艦の探知能力が高まる。

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