ロシア軍のウクライナ侵攻の目的と今後の展開

ロシア軍のウクライナ侵攻

2022年2月24日、ロシア軍はウクライナ全土の軍事施設を巡航ミサイルなどで空爆し、北部、東部、南部の3方向から侵攻した。

しかし、ウクライナ軍20万人に対してロシア軍19万人なので、ウクライナ全土(人口4,400万人)を占領するにはロシア軍は兵力が足りない。

その点に注目して、ロシア軍のウクライナ侵攻の目的と今後の展開を考察します。

 

攻撃三倍の法則

「戦闘において有効な攻撃を行うためには防御側の三倍の兵力が必要となる」とする考え方がある。

21世紀の無人機やミサイルの撃ち合いには通用しないが、ウクライナ侵攻では市街戦になると予想されるので、ある程度は通用する理論だと思う。

この理論に従えば、ウクライナ軍の兵力は約20万人なので、ロシア軍は60万人でなければならない。しかし、ロシア軍の兵力は最大19万人で兵力は不足している。

もちろん、ロシア軍19万人とウクライナ軍20万人が戦争すると、ロシア軍が勝利するだろうが、ロシア軍の人的損害が数千人~1万人くらいになると開戦前に予想されていた。

 

ロシアの目的

ロシア軍19万人では、ウクライナ全土を制圧することはできない。

したがって、キエフなど主要都市のみを制圧する作戦と予想される。

ロシア軍は、キエフを包囲し、突入部隊がゼレンスキー政権を排除し、傀儡政権を樹立する作戦だったと見られる。

しかし、ロシアのキエフ攻略は失敗したため、東部と南部の占領に戦略を切り替えている。

 

ロシア「シロビキ」

ロシアにおいて軍人や情報機関員は「シロビキ」と呼ばれ、現プーチン政権も5人の「シロビキ」が政策を決定していると言われる。

  • プーチン(KGB出身)
  • パトルシェフ安保会議書記
  • シェイグ国防相
  • ボルトニコフ連邦保安局長官
  • ナルイシキン対外情報局長官

5名のうち4名はKGB出身者であるため、スパイ活動は得意だが、20万人以上の軍隊を動かす軍事軍事については不慣れと思われる。

ロシア軍のウクライナ侵攻が当初の予定よりも苦戦しているのは、大規模な戦争に不慣れなKBG出身者が立案したお粗末な作戦のためと思われる。

 

アメリカのシンクタンクの6つのシナリオ

アメリカのシンクタンク「CSIS」がウクライナ侵攻の6つのシナリオを発表した。

「ウクライナ全土占領」シナリオから「東部のロシア系独立武装勢力支配地域への侵攻」シナリオまで6つがある。

そのうち「ウクライナの東半分占領」または「東部のロシア系独立武装勢力支配地域への侵攻」の2つのシナリオが有力としている。

したがって、ウクライナは、旧東西ドイツのような分裂国家になる可能性があるのではないか?

 

5月7日は旧ソ連「対独戦勝記念日」

ロシアのプーチン大統領は、5月7日の「対独戦勝記念日」まで戦争を継続し、それまでに「ウクライナ東部・南部」をできる限り広範囲に支配し、「勝利宣言」をして停戦する計画だったかもしれない。

しかし、ロシアはこれも失敗しており、戦争を断続するしかない状態。

 

ウクライナは緩衝地帯

ロシアにとって、ウクライナはNATOとの緩衝地帯である。したがって、ウクライナがNATO軍に加盟せず現状維持ならば、ロシアがウクライナに侵攻する意味はない。

ウクライナ東部の「ドネツク人州」と「ルガンスク州」は、親ロシア武装勢力が優勢であり、ロシアにとって現状維持が望ましい。

しかし、プーチンは大統領選を控えて、国民の支持率を上げるために、ウクライナに侵攻した可能性がある。

 

対戦車ミサイル(FGM-148ジャベリン)

アメリカは開戦までにウクライナに対戦車ミサイル(FGM-148ジャベリン)合計2,000基を許与したと予想される。

これを使用したウクライナ軍は、ロシア軍の戦車と装甲車合計約1000台を破壊したと予想される。

さらに、アメリカは、追加支援を発表しており、「ジャベリン」1,000基程度を追加供与すると予想される。またドイツも対戦車ミサイル「パンツァーファウスト3」1,000基と対空ミサイル「スティンガー」500基を支援すると発表した。

これらの支援により、ウクライナはロシアの進軍を食い止めることができた。

アメリカは、2022年5月9日、ウクライナへの支援を強化するため「武器貸与法」に署名し、成立した。これにより、アメリカはウクライナに武器を迅速に貸与できるようになった。

2022年6月までに、アメリカなど西側の武器がウクライナに大量に届くとされる。

したがって、2022年6月になれば、ウクライナはさらに反撃を強める可能性がある。

 

まとめ

ロシアにとって、ウクライナ侵攻は経済的・軍事的メリットがないが、ウクライナがNATOに加盟することは絶対に阻止したい。

一方、ウクライナは祖国防衛戦であり、士気が高い。

ロシア軍はウクライナ周辺に最大20万人を投入したが、そもそも、ウクライナ全土(4,400万人)を制圧するのは不可能だった。

ロシア軍としては主要都市を陥落させる程度が限界と思われ、ウクライナ政権との交渉を有利にするための「軍事侵攻」だった。

ウクライナ政権が防衛戦争を続行する限り、ロシアが不利になる可能性がある。

 

北京オリンピックとの関係

2022年2月4日~2022年2月20日に北京オリンピック(冬季)が開催された。

ロシアと中国は必ずしも一枚岩とは言えないが、対アメリカでは協調できる数少ない国なので、ロシア軍は北京オリンピックの時期にウクライナに侵攻しなかったと思う。

ちなみに、2014年にロシア軍がクリミアに侵攻した時

  • 2014年2月23日「ソチオリンピック閉幕」
  • 2014年2月27日「親ロシア派の武装勢力がクリミアを占拠」
  • 2014年3月1日「ロシア軍が侵攻」

 

バイデン米大統領

バイデン米大統領は、アメリカ軍をウクライナに派兵することはないと明言している。

 

ノルドストリーム2

「ノルドストリーム2」とは、ロシアからドイツへ天然ガスを送る海底ガスパイプラインで設備は2021年9月に完成している。

しかし、米国などが安全保障上の懸念から稼働に反対しており、正式に稼働できていない。

もし、ロシアがウクライナに侵攻すると「ノルドストリーム2」は経済制裁の対象となり長期間稼働できない可能性がある。

その場合、ロシアは年間550億立方メートルの天然ガスを輸出できず、大損害を受ける可能性がある。

ちなみに、ノルドストリーム1は同じく天然ガス海底パイプラインで2011年に稼働している。

 

ロシア・ウクライナ間のガス紛争

ロシアは、旧ソ連時代から天然ガスをウクライナ経由で東欧や西欧に供給している。

旧ソ連崩壊以降1990年代からウクライナはロシアから安値で天然ガスを購入し、高値で東欧や西欧に天然ガスを売却して多額の利益を得ていた。

しかし、ウクライナは、パイプラインから天然ガスを無断で抜き取ったり、ロシアへの天然ガス購入代金を滞納したりしている。

そのため、天然ガスを巡り、ロシアとウクライナは険悪な関係となっている。

「ノルドストリーム2」が稼働すると、ロシアからウクライナを通過して天然ガスを送るパイプラインのシェアが低下することになる。

当然、ウクライナがロシアから受け取る「経由料」も減少するため、ウクライナは「ノルドストリーム2」の稼働に反対している。

 

世界軍事力ランキング

2.ロシア(Russia)

国名 ロシア(Russia)
人口 1億4587万人(2019年・9位)
軍事費 617億ドル(約7兆円)
兵力 90万人(85万人という情報もある)
予備役 200万人
戦車 12,000両
戦闘機 770機
潜水艦 58隻(原子力潜水艦37隻・通常型潜水艦21隻)
航空母艦 1隻(運用休止中)

 

  • ロシアは国土が広いため伝統的に陸軍が主体で、海上艦艇の保有数は少ない。
  • しかし、キロ級潜水艦を60隻保有し、最新鋭のSu-30戦闘機、S-400地対空ミサイルなど、総合的な軍事技術は極めて高い。

 

22.ウクライナ(Ukraine)

国名 ウクライナ(Ukraine)
人口 4,399万人(2019年・33位)
軍事費 59億ドル(約6,800億円)
兵力 20万人(陸軍8万人・空軍4.5万人など)
予備役 90万人
戦車・装甲戦闘車両 2,445両(戦車732両・装甲戦闘車両1713両)
火砲 1298門
戦闘機 69機
戦闘ヘリ 106機

 

 

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