
ASM-3(開発コード:SAM-3)は、マッハ3以上の速度を想定した超音速の「空対艦ミサイル」で、ASM-2(93式空対艦誘導弾)やASM-1(80式空対艦誘導弾)の後継として開発されました。
当初は2017年度ごろに開発を完了し、2019年度から量産・配備に移行する計画とされていました。
開発試験では、2017年度中に退役した護衛艦「しらね」(満載排水量約6,800トン、全長159m)を標的艦として、日本海のG海域で発射試験が行われています。これにより、ASM-3の開発は所要の成果を得たとされています。
しかし、その後、中国軍のミサイル戦力が急速に長射程化したことなどから、ASM-3の射程では将来的な運用上の課題があると判断されました。
そのため、ASM-3をそのまま配備するのではなく、射程などの性能を向上させた「ASM-3(改)」の開発が進められることになりました。開発は2025年度までを目標として進められました。
一方、尖閣諸島周辺では、中国海警船による活動が常態化するなど、日本周辺の安全保障環境はさらに厳しさを増しています。
こうした状況を踏まえ、防衛省はASM-3(改)の開発を進めながら、その途中段階となる改良型についても実用化を進める方針に転じました。
その結果、2021年度から「ASM-3A」の調達が始まり、ASM-3(改)の完成を待たずに、より高性能な空対艦ミサイルを段階的に導入する流れとなっています。
つまり、ASM-3シリーズは、
ASM-1 → ASM-2 → ASM-3 → ASM-3A → ASM-3(改)
という形で、周辺国のミサイル戦力の変化に対応しながら、段階的に能力向上が図られてきたと見ることができます。

ASM-3A(出典 防衛省)
| 射程 | 配備・開発時期 | |
| ASM-3 | 200km | 配備せず(当初は2019年に配備予定) |
| ASM-3A | 300km | 2021年配備 |
| ASM-3(改) | 400km | 2025年までに開発 |
ASM-3Aは、ASM-3(改)の開発途中で得られた成果を反映した改良型です。ASM-3より射程が延伸されているとみられます。ASM-3Aについては、燃料搭載量の増加だけでなく、エンジンや機体の軽量化などによって射程を延伸した可能性が考えられます。
一方、ASM-3(改)は、ASM-3Aよりもさらに高い性能を目指して開発されています。防衛省の資料では、弾体の大きさを変更せず、軽量化などによって長射程化を実現する計画が示されています。
また、ASM-3(改)では、射程だけでなく、誘導・制御などの能力についても、ASM-3Aからさらに高度化される可能性があります。
近年、中国軍では長射程の防空ミサイルや各種センサー、データリンクなどの能力向上が進んでいます。
こうした防空能力がさらに向上すれば、将来的には航空自衛隊のF-2戦闘機が中国艦艇に接近して攻撃すること自体が、より難しくなる可能性があります。
ASM-3の射程は一般に約200kmとされますが、仮に中国艦艇の防空ミサイルがこれを上回る射程を持ち、さらに艦艇や航空機、地上レーダーなどがデータリンクで連携するようになれば、F-2が中国艦艇の防空圏内に入らずにASM-3を発射することが難しくなる可能性があります。
このため、防衛省は2020年度から「ASM-3(改)」の開発に着手しました。
防衛省は、ASM-3(改)について「長射程化技術の確立」を目標としており、弾体の大きさを変更せず、機体の軽量化などによって射程を延伸する計画を示しています。また、インテグラルロケット・ラムジェット・エンジン(IRR)の搭載なども計画されています。
では、ASM-3(改)の射程はどの程度になるのでしょうか。
ここからは当ブログ独自の予想です。
中国が配備するロシア製「S-400」は、型式などによって異なりますが、長射程型では最大400km級の射程があるとされています。
こうした条件を考えると、ASM-3の約200km級の射程では将来的な中国側の防空能力に対して余裕が小さいため、ASM-3(改)では400kmの射程と考えることができます。
| 速度 | マッハ3以上 |
| 射程距離 | 400km |
| 重量 | 940kg |
| 全長×直径 | 6.0m×0.35m |
| エンジン | IRR(インテグラル・ロケット・ラムジェット) |
| 誘導方式 | 慣性/GPS誘導(中間)+アクティブ/パッシブ複合誘導(終末) |
| RCS | 0.008~0.01㎡ |
| 搭載機 | F-2 |
ASM-3(SAM-3)(改)のエンジン
ASM-3(改)のエンジンはIRR(インテグラル・ロケット・ラムジェット)でロケットエンジンとラムジェットエンジンを組み合わせたエンジンとなる。
ロケットエンジンを超高速化、長射程化するには酸化剤を多く搭載する必要があり、重量が重くなる。
そのため、ASM-3(改)は発射初期にロケットエンジンを使用し、その後はラムジェットエンジンで推進することにより小型軽量化を実現し航空機に搭載できるようにした。
搭載予定航空機
- F-2戦闘機、P1哨戒機に搭載される予定。
- F-2には2発、P1には8発搭載できるとされる。
ASM-3(改)の攻撃力
ASM-3(改)は海面近く、低空軌道で発射される。敵艦から見れば、水平線の向こうから発射される。そのため、敵艦艇が発見できるのは40km手前からだ。
したがって、敵艦艇の対処時間は約20~30秒しかなく、ASM-3(改)の同時飽和攻撃を回避できる艦艇はない。
現在、世界最高性能の米軍のイージス艦でも1隻の場合、ASM-3(改)20発の飽和攻撃を回避できない。
中国版イージス艦と言われる052D型駆逐艦であれば、7発のASM-3(改)の同時攻撃を受ければ、回避できないとされる。
自衛隊の戦闘機F-2戦闘機1機には2発のASM-3を搭載できる。したがってF-2戦闘機4機で8発のASM-3(改)を発射すれば、中国版イージス艦(052D型駆逐艦)を確実に撃沈できる。
