アメリカは中国の潜水艦発射ミサイル(SLBM)を最も警戒している。
中国の戦略ミサイル原子力潜水艦(SSBN)は南シナ海に展開し、射程7,000km~8,000kmのSLBMを搭載している。
現在の射程では米国本土は攻撃できないが、グアムや在日米軍基地は攻撃できる。今後、中国が射程を13,000km~15,000kmに伸ばせば、南シナ海から直接米国本土を攻撃できるようになる。
また、中国の戦略ミサイル原子力潜水艦(SSBN)が西太平洋に展開すると、米国本土も射程に入ってくるので、アメリカは、中国の潜水艦を南シナ海、東シナ海に封じ込めたい。
この中国の戦略ミサイル原子力潜水艦(SSBN)に対してもっとも攻撃力が強いのが日本の「そうりゅう型」潜水艦だ。
南シナ海の中国の潜水艦に対抗するには、航続距離の長い排水量4,000トン以上の大型潜水艦でなければならない。
そうりゅう型潜水艦は排水量4,200トンと通常型潜水艦としては世界最大級で、外洋展開でき、対中国潜水艦作戦に有効である。
また、中国の潜水艦の作戦潜航深度は水深300mと推定され、一方、日本の「そうりゅう型潜水艦」は水深650m~900mと言われる。
中国海軍の水上艦艇が海上から魚雷を発射しても水深500mに達するまでに水圧で魚雷が圧潰(壊れる)してしまう。
「そうりゅう型潜水艦」は水深900mから発射できる89式魚雷を搭載しており、水深650mから水深300mの中国の潜水艦を一方的に攻撃できるのだ。
実戦となれば、「そうりゅう型」潜水艦は中国の潜水艦に気づかれることなく、中国の潜水艦の下、水深650m~900mに展開し、一方的に魚雷攻撃できる。
対潜哨戒機P3C、P8、P1などで南シナ海の海中に展開する中国海軍の潜水艦を攻撃するには、航空優勢(制空権)をとる必要がある。
中国は南シナ海の人工島に空軍基地(滑走路)を建設しているので、米国が航空優勢(制空権)をとるには数日かかる。
その間に、中国の戦略ミサイル原子力潜水艦(SSBN)からSLBMが発射される可能性がある。
しかし、「そうりゅう型」潜水艦なら、航空優勢(制空権)、海上優勢(制海権)を有しなくても潜水艦単独で中国の戦略ミサイル原子力潜水艦(SSBN)を無力化できる。
日本の自衛隊は憲法や法律の解釈問題から、南シナ海に展開できるかどうかは微妙だ。
アメリカとしては、憲法上の制約なく確実に南シナ海に展開できるオーストラリア海軍に「そうりゅう型」潜水艦を保有させた方が安全保障上有利と考えていた。
そのため、日本からオーストラリアへの「そうりゅう型潜水艦」を輸出させようとしたと思われる。