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【高高度ミサイル迎撃システム】日本にサードミサイル(THAAD)は必要か?

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稲田防衛大臣が2017年1月13日に、アメリカ軍グアム基地のTHAAD(高高度防衛ミサイル)を視察した。

今後2017年夏までに導入するかどうかを決定する。はたして日本にTHAADは必要なのか?

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現在の迎撃システム

現在、日本の弾道ミサイル防衛(BMD)は2段構えになっている。

  1. 海上配備のイージス艦がSM-3ミサイル(射程1,000km~2,000km)で迎撃する。
  2. イージス艦が撃ち漏らした場合は、地上配備型のPAC-3ミサイル(射程20km)で迎撃する。

なぜ、THAAD(高高度防衛ミサイル)が必要か?

PAC-3ミサイルの射程は15km~20kmと短い。PAC-3は本来、中東の砂漠の中のアメリカ軍基地を防衛するために開発されたもので、軍事基地を守るための迎撃ミサイルだ。

したがって、東京や大阪などの大都市を防衛するものではない。そこで、射程200kmのTHAADミサイルの導入が検討されている。

 

迎撃ミサイルの比較

THAAD PAC3 SM-3ブロック1A SM-3ブロック2A
射程 200km 20km 1,200km 2,000km
高度 150km 15km 600km 1,000km
ミサイル単価 10億円~15億円 5億円 20億円 30億円
システム価格 1,000億円~1,500億円 1,000億円~2,000億円 1,000億円~2,000億円

 

THAAD(高高度防衛ミサイル)のコスト

THAADミサイル1基(システム)はXバンドレーダー(TRY-2)と10連装ミサイル発射機搭載トラックなどからなり、1セット当たりの価格は1,000億円~1,500億円とされる。

THAADミサイルの射程は200km、高度は150kmでドーム状の有効射程圏ができる。

現実的には射程圏はある程度重なって配備する必要がある。射程200kmで計算するのではなく、半径150km+150kmの300kmに1基のTHAADミサイルを配備する必要がある。

日本列島全体をカバーするには10基~15基を配備する必要がある。導入コストは10基(1兆円~1兆5000億円)、15基(1兆5000億円~2兆2500億円)となる。

ただし、北朝鮮からの弾道ミサイルを迎撃するだけならば、日本海側にのみ6セット~7セットを配備すればよい。その場合の導入コストは6,000億円~1兆500億円となる。

 

イージス艦との比較

イージス艦搭載のSM-3ミサイルの射程は2,000kmなので日本列島全体をカバーするには2隻で足りる。予備艦を含めても3隻配備すればいい。

最新のイージス艦の建造費は1隻1,700億円で3隻で5,100億円となる。費用対効果ではイージス艦を配備した方がはるかに安い。

 

イージスアショア(陸上配備型イージスシステム)

射程2,000kmで1基700億円~800億円。日本列島全体をカバーするのに2基あれば足りる。

導入コストは2基で1,400億円~1,600億円と最も安く、現在のイージス艦との補完もでき、イージス艦の運用が柔軟にできるというメリットがある。

 

まとめ

費用対効果でいえば、THAADミサイルを導入するよりも、イージス艦やイージスアショアの方がコストが安く済む。

しかしながら、東京、大阪、名古屋、などの大都市や原発などの重要施設を防衛するために部分的に導入する可能性は十分にある。

THAADミサイルはトラックで移動し発射する。したがって、自衛隊員が24時間体制で迎撃に備えるには居住性が悪い。

イージス艦やイージスアシェアであれば居住性も高く、24時間体制の交代勤務も容易にできる。

さらに、ミサイルの種類が多いと専門の隊員を養成する必要があり効率的ではない。

したがって、THAADミサイルよりもイージス艦やイージスアショアを増補する方が効率的でコストも安い。

 

捕捉

日本にとっては、THAADミサイルよりもイージス艦やイージスアショアの方が効率的だ。

しかし、世の中それだけでは、話は済まない。

韓国のTHAADミサイル配備が怪しくなってきているので、アメリカの都合で、九州北部にTHAADミサイル配備の可能性もある。

1セットだけでは、運用効率が悪いのでもう1セットを首都圏に配備し、合計2セット(2,000億円~3,000億円)を導入する可能性がある。

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