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トルコ、アメリカと対決姿勢、ロシアと関係改善

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2016年8月22日、トルコ軍はシリア領内のマンビジュを攻撃した。マンビシュはクルド人勢力「民主連合党(PYD)」が米国の支援を受け、IS(イスラミックステート)から8月上旬に奪還したばかりの都市だった。

さらに、8月24日トルコ軍はシリア領内のIS拠点(シリアの国境の都市 ジャラブルス)を攻撃した。トルコ軍のF-16と戦車がシリア領内に進攻した。

このところ、トルコ軍の動きが活発になっているなぜなのか?

2016年7月15日のトルコクーデター未遂事件を契機に、エルドアン政権は反対派を一掃、同時にロシアと関係改善したことで、国外に注力できる環境が整った。

このことにより、ISとクルド人勢力を一掃する動きが活発になってきたと考えられる。

トルコクーデター未遂事件はなんだったのか?

トルコのクーデター派は「法の支配、民主主義」を掲げてクーデダーを起こした。そのクーデター派は宗教指導者ギュレン師を支持している。ギュレン氏は現在、アメリカに滞在している。

トルコ政府はアメリカに引き渡しを要求しているが、アメリカは証拠がないとして拒否している。

トルコのクーデター派は、アメリカの影響を受けた高学歴のエリート層と言える。そのことで、トルコのエルドアン政権とアメリカの関係は悪化している。

その反作用として、トルコはロシアとの関係が改善した。

トルコとロシアの関係改善

2015/11 トルコ軍がロシア空軍機を撃墜したことから両国の関係が悪化していた。

しかし、ロシアは、欧米の経済制裁で経済悪化しており、トルコとの関係改善をして、ロシアから、黒海、トルコ経由で南欧へガスパイプラインを敷設したいという思惑があった。

また、トルコも欧米と対立しており、イギリスのEU離脱問題などEUの混乱から、欧米とは距離を置く政策をとっていた。

トルコ固有の問題としては、トルコ国内、シリア、イラクのクルド人勢力の独立の動きがあり、それを警戒するためにもロシアの力を利用しようとした。

クルド人勢力

クルド人は国を持たない民族で、トルコ、イラク、イランを中心に約2,400万人と言われる。

トルコ国内 1,100万人
イラン国内 500万人
イラク国内 500万人
シリア国内 200万人
その他の国(ドイツ、アフガニスタンなど) 100万人
合計 2,400万人

 

グルド人武装グループ

PKK クルド労働党 トロコ国内のクルド人武装勢力
PYD クルド民主統一党 シリア領内のクルド人組織 PKKから分離
YPG クルド人民防衛隊 シリア領内のクルド人組織 PYDの軍事部門

 

トルコ エルドアン政権とクルド人勢力の関係

トルコ政府とPKKは停戦で合意していたが、2015年7月、停戦合意が破棄され対立が激化した。

2015年12月~2016年3月 トルコ治安部隊は、PKKの拠点「ジズレ」を攻撃、数百人の犠牲者がでたと言われる。

2016年3月13日 PKKはトルコの首都アンカラで自爆テロ、37人が死亡した。この自爆テロ犯は、シリア領内のYPGで訓練を受けたとされる。

アメリカの立場

トルコはNATO軍の一員であり、アメリカはトルコ南部にインジルリク空軍基地(米軍基地 3,048m滑走路1本)を持っている。

トルコと関係改善を図りたいが、IS掃討作戦においては、クルド人勢力の力を借りる必要があり当面、トルコとの関係改善は見込めない。

まとめ

トルコ軍はISとPKK(クルド労働党 非合法武装組織)との2正面戦争の状態になっている。

アメリカはクルド人勢力を利用してISを攻撃する政策であり、トルコとの関係悪化は続く。

ロシアとトルコの関係改善により、中東でのロシアのプレゼンスが大きくなっている。今後、中東は不安定化する可能性が高い。

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