2016年3月の世論調査ではトランプ氏支持率42%、クリントン氏支持率56%だったが、2016年5月のオンライン調査ではトランプ氏40%、クリントン氏41%と接戦になってきた。
また、民主党のサンダース氏の支持者は反クリントンと思われるので、民主党支持者の中からもトランプ氏支持が広がる可能性がある。
在日米軍駐留経費
在日米軍の駐留経費については、日本側とアメリカ側の計算方式が違う。それは、日本が「思いやり予算」と言われる本来、日本が負担すべき法的根拠のない負担をしているためだ。
アメリカ側の計算では、駐留経費は年間5,800億円で、日本の負担分は、米軍基地で働く日本人従業員の人件費や、米軍基地光熱費などで、3,380億円とされる。内訳は日米安保条約上の日本負担1,900億円と特別協定上の日本負担1,480億円だ。
実際にはこれ以外に、日本は米軍基地借地料、周辺対策費などで合計5,800億円を負担している。さらに基地周辺の振興予算などを含めれば日本政府の負担は毎年7,000億円との見方もある。
日米で駐留経費の概念が違うので、正確にはわからないが、トランプ氏の主張なら、在日米軍駐留経費年間5,800億円のうち、日本側負担分3,380億円を5,800億円にするということだろう。つまり、日本の負担分は毎年約2,400億円増加すると予想される。
安倍政権はトランプ氏の要求を受け入れるだろう
トランプ氏の主張通りとしても追加の日本負担は2,400億円と予想されるので、安倍政権は受け入れると思われる。
ただ、日本の防衛関係者の不満が高まるのは事実だ。毎年5,000億円あれば、自衛隊のかなりの強化ができるからだ。
5,000億円あったらできる自衛隊装備
単価×配備数 | 費用 | |
次期8200トン級イージス艦1隻 | 1,700億円×1隻 | 1,700億円 |
そうりゅう型潜水艦 | 640億円×1隻 | 640億円 |
いずも型護衛艦 | 1,200億円×1隻 | 1,200億円 |
F-35戦闘機 | 160億円×10機 | 1,600億円 |
10式戦車 | 10億円×10両 | 100億円 |
合計 | 5,240億円 |
在日米軍撤退で日本の防衛費年間10兆円は本当か?
平成28年度の日本の防衛予算は5兆541億円だ。これが10兆円になれば毎年5兆円増加することになる。5兆円あれば、最新鋭イージス艦を毎年10隻、そうりゅう型潜水艦を毎年10隻、出雲型護衛艦毎年10隻、F-35を毎年100機、10式戦車を毎年100両を調達できる。
在日米軍撤退で日本の防衛費が10兆円になるというのは、計算の根拠がよくわからない。恐らく各国の防衛費がGDPの2%ということからきているのだと思う。
日本の防衛費は現在GDP比1%の約5兆円だが、これがGDP比2%になれば10兆円になるという単純な計算だろう。
各国の防衛費とGDP比率
国名 | 防衛費 | 対GDP比率 |
アメリカ | 60兆円 | 3.3% |
中国 | 22兆円 | 2% |
サウジアラビア | 9兆円 | 14% |
ロシア | 7兆円 | 5% |
イギリス | 6兆円 | 2% |
インド | 5兆円 | 2% |
日本 | 5兆円 | 1% |
ドイツ | 4兆円 | 1.2% |
韓国 | 4兆円 | 2.6% |
ブラシル | 3兆円 | 1.4% |
イタリア | 3兆円 | 1.3% |
オーストラリア | 3兆円 | 2% |
まとめ
中国の軍備増強に備え、自衛隊も装備を増強している。自衛隊の潜水艦は2021年までに現在の17隻+2練習艦から22隻+2練習艦の体制になる。またイージス艦も現在の6隻体制から2021年に8隻体制になる。F-35も2016年度から自衛隊に引き渡され2020年までに40機体制が整うとされる。
したがって、2020年ころには日本の自衛隊の装備増強が終わるので、在日米軍撤退しても、影響が少ないと思われる。その後は在日米軍駐留経費分5,000億円を自衛隊の装備に使えば、国産ステルス戦闘機F-3も実現可能である。
2020年ころまでは、日本は在日米軍の駐留経費毎年5,000億円の負担をするだろうが、その後は、2030年にかけ段階的に在日米軍撤退の可能性は十分にある。
また、アメリカの防衛費は現在、対GDP比で3.3%で60兆円だ。長期的に考えると対GDP比2%台、防衛費自体も40~50兆円に削減される可能性は十分にある。そうすると必然的に在日米軍撤退縮小はありえる。