イギリス海軍の新型空母「クイーン・エリザベス(Queen Elizabeth)」と「プリンス・オブ・ウエルス(Prince of Wales)」の2隻が、2017年と2020年にそれぞれ就役する予定となっている。
カタパルトではなくスキー・ジャンプ甲板を設ける。
クィーン・エリザベス級 | インヴィジブル級 | ロナルド・レーガン | いずも級 | |
満水排水量 | 67,700トン | 20,500トン | 101,400トン | 27,000トン |
基準排水量 | 45,000トン | 16,000トン | 19,500トン | |
全長 | 284m | 210m | 333m | 248m |
全幅 | 39m | 36m | 76.8m | 38m |
吃水 | 9.9m | 8m | 11.3m | 7.3m |
艦載機 | F-35B(30機) | 9機 | 90機 | |
艦載ヘリ | 10機 | 12機 | 最大14機 |
艦載機F-35B
これらの2空母の艦載機はF-35Bで、30機ずつ搭載される予定だ。しかし、当初はF-35B戦闘機の調達が間に合わない可能性が高い。
F-35Bが予定の配備数に達するのは2020年以降になりそうだ。
それまでは、暫定的にF-35B戦闘機12機とEH101ヘリ14機で運用する案がある。
また、アメリカ軍海兵隊のF-35B戦闘機を搭載し、共同運用する構想もある。その場合、岩国基地の米海兵隊のF-35Bも候補になる。
英国が購入するF-35戦闘機138機のうち約60機は海軍で使うことになる。
なぜ、イギリスは空母を建造したのか?
現在建造中のイギリス海軍空母「クイーン・エリザベス級」の満水排水量は65,000トン~70,000トンで、イギリス海軍史上、最大の艦艇だ。
イギリスはなぜ、この巨大な空母を建造するのか?
インヴィジブル級空母が2014年に退役したことで、後継空母が必要だった。しかし、インヴィジブル級空母は満水排水量20,500トンだが、クイーン・エリザベス級空母は満水排水量67,700トンを3倍以上の大きさになっている。
インヴィジブル級空母は短距離離陸垂直離機(STVOL機)ハリアー戦闘機を搭載していたが、クイーン・エリザベス級空母を建造する段階では、ハリアー戦闘機の退役が決まっていた。
このため、短距離離陸垂直離機(STVOL機)の調達の見通しがたっていなかったため、通常の艦載機の搭載を前提に、大型空母の建造を決定したものと思われる。
実際、クイーン・エリザベス級空母は当初、F-35C型(艦載機型)を予定していたが、開発が遅れており、F-35B型に変更されたことからも分かる。
湾岸戦争、イラク戦争の教訓
イギリスは湾岸戦争、イラク戦争に参加したが、イギリス戦闘機を発着させる空港の確保が難航した。このため、空母が必要という考えになった。