2018年9月25日、イギリス海軍の新型空母「クイーン・エリザベス(Queen Elizabeth)」(2017年就航)にF-35Bが初めて着艦・発艦した。
アメリカ東部の米国海軍基地を離陸したF-35Bは大西洋上でイギリス海軍(ロイヤル・ネイビー)の最新鋭空母「クイーン・エリザベス(Queen Elizabeth)」に着艦した。
今回着艦したF-35Bは米海兵隊所属と見られ、イギリス軍パイロットが操縦した。
空母クイーン・エリザベスの発艦は、カタパルト方式ではなくスキー・ジャンプ甲板からを発艦する。
F-35Bは垂直離陸可能だが、兵器を装備すると機体重量が重くなるので、短距離離陸すると見られる。
クイーン・エリザベス(Queen Elizabeth)の性能
クィーン・エリザベス級空母 | インヴィジブル級空母 | ロナルド・レーガン空母 | いずも級護衛艦 | |
所属国 | イギリス | イギリス | アメリカ | 日本 |
満水排水量 | 67,700トン | 20,500トン | 101,400トン | 27,000トン |
基準排水量 | 45,000トン | 16,000トン | 19,500トン | |
全長 | 284m | 210m | 333m | 248m |
全幅 | 38.8m | 36m | 76.8m | 38m |
吃水 | 9.9m | 8m | 11.3m | 7.3m |
艦載機 | F-35B(30機) | 9機 | 90機 | |
艦載ヘリ | 10機 | 12機 | 最大14機 |
艦載機F-35B
空母「クイーン・エリザベス(Queen Elizabeth)」の艦載機はF-35Bで、30機ずつ搭載される予定だが、2018年10月現在、F-35B戦闘機の調達が間に合っていない。
F-35Bが予定の配備数に達するのは2020年以降になりそうだ。
それまでは、暫定的にF-35B戦闘機12機とEH101ヘリ14機で運用する案がある。
また、アメリカ軍海兵隊のF-35B戦闘機を搭載し、共同運用する構想もある。その場合、岩国基地の米海兵隊のF-35Bも候補になる。
英国が購入するF-35戦闘機138機のうち約60機は海軍で使うことになる。
なぜ、イギリスは空母を建造したのか?
現在建造中のイギリス海軍空母「クイーン・エリザベス級」の満水排水量は65,000トン~70,000トンで、イギリス海軍史上、最大の艦艇だ。
インヴィジブル級空母が2014年に退役したことで、後継空母が必要だった。
しかし、インヴィジブル級空母は満水排水量20,500トンだが、クイーン・エリザベス級空母は満水排水量67,700トンを3倍以上の大きさになっている。
インヴィジブル級空母は短距離離陸垂直離機(STVOL機)ハリアー戦闘機を搭載していたが、クイーン・エリザベス級空母を建造する段階では、ハリアー戦闘機の退役が決まっていた。
このため、短距離離陸垂直離機(STVOL機)の調達の見通しがたっていなかったため、通常の艦載機の搭載を前提に、大型空母の建造を決定したものと思われる。
実際、クイーン・エリザベス級空母は当初、F-35C型(艦載機型)を予定していたが、開発が遅れており、F-35B型に変更されたことからも分かる。
同型艦
同型艦「プリンス・オブ・ウエルス(Prince of Wales)」は、2020年に就役する予定。
湾岸戦争、イラク戦争の教訓
イギリスは湾岸戦争、イラク戦争に参加したが、イギリス戦闘機を発着させる空港の確保が難航した。このため、空母が必要という考えになった。