日本政府は領空侵犯に対処する自衛隊のスクランブル(緊急発進)で無人機を活用する。
正確にいうと、スクランブルは領空侵犯機に対する緊急発進のことで、領海侵犯艦船に対する緊急発進はスクランブルとは言わない。
当面は、海上自衛隊が敵艦船を監視する「MQ-9B偵察型無人機」の試験運用を2023年5月から八戸航空基地で実施している。
「MQ-9B偵察型無人機」は、米空軍のMQ-9リーパー攻撃型無人機をベースに,海上偵察仕様に変更したもの。
今後は、航空自衛隊もスクランブル(緊急発進)用に無人機を運用する予定。
コメント
中国空軍が頻繁に尖閣列島や宮古海峡付近に出没しており、航空自衛隊那覇基地のスクランブル(緊急発進)の回数が増加している。
2021年度は、日本のすべてのスクランブル(緊急発進)回数は1,004回で、うち南西航空方面隊は652回となっている。
しかも、これは対航空機のスクランブル(緊急発進)であり、艦船に対する出動回数は含まれていない。
したがって、無人機は南西航空方面隊に配備されるのではないか?
現在、航空自衛隊那覇基地では、F-15J(40機)がスクランブル(緊急発進)対応しているが、老朽化しており、10年~20年先を考えると、現体制でスクランブル(緊急発進)体制を維持できない可能性がある。
また、最新鋭ステルス戦闘機F-35をスクランブル(緊急発進)に使用すると、敵に性能を知られてしまう可能性がある。
ちなみに、海上自衛隊鹿屋航空基地で米空軍の無人偵察機MQ9を2022年11月から運用しており、今後8機まで配備される予定。
自衛隊は、三沢基地に無人機「RQ-4グローバル・ホーク」を2021年度以降順次3機配備する予定。
無人機で常時監視か?
RQ-4Bの運用高度は15km~20kmと高いので、海上警備には使えそうにない。
したがって、海上警備とスクランブル(緊急発進)任務にはMQ-9を使用するのではないか?
しかし、MQ-9の速度は333km/hと一般の旅客機の800km/hよりも遅く、敵国の航空機を発見してから自衛隊基地から発進しては間に合わない。
したがって、24時間体制でMQ-9を南西方面に展開し常時監視するのではないか?
無人機の性能
機種 | RQ-4B | MQ-9 |
全幅 | 39.90m | 20.12m |
全長 | 14.50m | 10.97m |
全高 | 4.70m | 3.81m |
最大離陸重量 | 12.1t | 4.76t |
運用速度 | 574km/h | 333km/h |
航続距離 | 22,779km | 8,519km |
滞空時間 | 36時間 | 32時間 |
運用高度 | 15,240m~19,810m | ~15,240m |
搭載センサー | 可視光・赤外線・SAR・信号情報 | 可視光・赤外線・SAR・信号情報 |
初飛行 | 1998年 | 2001年 |