2016年7月にテリーザ・メイ英首相が就任し、イギリスの原潜の更新を英下院で可決した。
これで、イギリスのトライデント核ミサイル搭載原子力潜水艦4隻が建造されることになった。
建造費建は4隻で310億ポンド~410億ポンド(4兆円~5兆円)とされる。
イギリスの原子力潜水艦が更新時期に入り、トライデントミサイルと次期原子力潜水艦建造についてイギリス国内の世論が分れていた。
現在の核保有国一覧
国名 | 核不拡散条約(NPT)規定国 | 核弾頭数(推定) |
アメリカ | ○ | 7.600発 |
ロシア | ○ | 8,400発 |
イギリス | ○ | 200発 |
フランス | ○ | 300発 |
中国 | ○ | 240発 |
インド | 100発 | |
パキスタン | 100発 | |
北朝鮮 | 10~20発 | |
イスラエル | 80発 |
1953年~1954年にイギリスは水爆、中距離弾頭ミサイルの開発を行った。1990年の冷戦終結以降、イギリスは潜水艦発射弾道ミサイル(核弾頭搭載)のみ保有する。
これは、イギリスの国土が狭く、地上発射型弾道ミサイルを配備しても敵の大陸間弾道弾(ICBM)の先制攻撃を受けた場合、残存率が極めて低いと考えられたからだ。
イギリス海軍は現在、4隻のバンガード級原子力潜水艦(約16,000トン 全長約150mを)を保有している。(一番艦1993年就役 4番艦1999年就航)
4隻体制で、常時2隻が実戦配備の状態にある。
イギリスの核ミサイルは潜水艦発射型ミサイル(SLBM)のみで、核弾頭搭載トライデントⅡミサイル(トライデントD5)が実戦配備されている。
ミサイル64基(16基×4隻の潜水艦)を保有し、核弾頭は最大約200発(1基で3発の核弾頭を搭載)である。
1994年から配備され、その費用は原子力潜水艦と合計で約3~4兆円と言われる。また、年間のランニングコストは約3,000億円。
2020~2025年に原子力潜水艦の更新時期が来るが、イギリス労働党は多額の費用がかかることからその更新について否定的な政策をとっている。
現在、イギリス海軍の原子力潜水艦は4隻あるが、経費削減のため3隻に削減する方針。それでも、原子力潜水艦と潜水艦発射ミサイル(SLBM)の更新には4~5兆円の費用がかかると言われる。
また、潜水艦を3隻に削減するので、潜水艦発射ミサイル(SLBM)も現在の最大約200発から約160発程度に削減されると見られる。
現在、核戦力を保有していないが、核技術と核兵器の原料となる「プルトニウム」を保有することで核抑止力として機能しているという考えがある。
日本の場合、6ヶ月で核兵器を製造できると言われている。
イギリスの一部には日本のように、核技術のみ保有し、核兵器を保有しない核戦略を支持する意見がある。