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X-2(ステルス実証機)初飛行成功 しかし、F-15には遠く及ばない飛行性能

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2回目の飛行写真(主脚を格納)

2016年4月22日、X-2(ステルス実証機)は初飛行に成功した。県営名古屋空港を離陸し約25分後、岐阜県各務原自衛隊基地に着陸した。今後は岐阜県各務原自衛隊基地を拠点に飛行試験を行う予定。

有人ステルス機の飛行成功は、アメリカ、ロシア、中国に続いて4ヵ国目となる。

従来は「心神」「ATD-X」と呼ばれていたが2016年1月に「X-2」と型式制定された。

X-2は、2016年6月に防衛装備庁に引き渡され、地上で各種センサー機能の確認を行っていた。その後、2016年11月29日に岐阜試験場で3回目となる飛行試験が実施された。

今後は約50回の飛行試験を行い、ステルス性能、高運動性能が設計通りの数値を出すかを確認する。

X-2はあくまでも、コンピューターシミュレーションや風洞実験から設計したステルス性能を確認するための実証機で、実戦機ではない。

 

F-15との比較

F-15 米空軍嘉手納基地

嘉手納基地や自衛隊那覇基地のF-15と比較すると、X-2の離陸には違和感を感じる。

それはX-2の離陸時に揚力不足しているからだと思われる。

揚力不足になる原因はエンジンの出力不足ステルス性を優先した主翼形状のため主翼自体の揚力係数(CL)が悪化していることが考えられる。

F-15は1972年に実戦配備された約40年前の飛行機だが、離陸時の機首上げはスムーズでエンジン推力の大きさと揚力を感じられる。微妙なのだが、X-2の離陸とF-15の離陸を比較するとX-2の離陸は挙動がスムーズではない。

もちろんX-2は実証機でF-15は実戦機という違いがある。しかし40年前のF-15の飛行性能にも及ばないということは、F-3開発がそう簡単なことではないということを意味する。

 

X-2とライバル機の性能比較
機種 全長 エンジン推力 推力重量比
X-2 14m 10トン(2基合計) 7.8
F-2 15.5m 13トン(1基) 6
F-15 19.5m 17トン(2基合計) 7.8
F-22 19m 30トン(2基合計) 8

X-2の推力重量比は7.8でF-15とスペック上は同じだ。もしかしたら、試験飛行ということでX-2は100%の実力を発揮していなかったのかもしれない。例えば、通常の場合、エンジン出力80%以上で離陸するが、X-2はエンジン出力60%ぐらいで離陸したのかもしれない。

 

X-2の開発費と開発企業

X-2は2009年から開発が開始され、開発費は394億円だった。

開発部位 メーカー
機体 三菱重工業
エンジン(XF5-1) IHI(旧石川島播磨重工業)
主翼、尾翼 富士重工業
操縦席 川崎重工業
エンジン(XF5-1)

 

IHI(旧石川島播磨重工業)は1995年からXF5エンジンを開発していた。

X-2用に搭載されるのは「XF5-1エンジン」でアフターバーナーと3枚の推力偏向パドルを備える。

推力は5トン、推力重量比は7.8。

 

 今後の予定

2018年ころまでに、第5世代ステルス戦闘機F-3を開発するかどうか判断する。国産第5世代開発が決定すれば、2030年ころにF-3が誕生する見通し。

エンジンの推力はXF5-1の5トンから15トンまで引き上げる。この新型エンジンは「ハイパワースリムエンジン(HSE)」と言われている。

新型エンジン(HSE)の耐久温度は、XF5-1エンジンの耐久温度1600度から1800度に引き上げる必要がある。つまり、部品の素材開発から始めないといけない。

エンジン出力が3倍になる一方、ステルス性を維持するためXF5-1の直径70cmに対して直径100cmまでの拡大にとどめる必要がある。

つまり、新型エンジンの開発は単に出力を3倍にするだけではなく、小型化も同時にしないといけない。

X-2のキャノーピーはT-4練習機の流用、主脚、前脚はT-2練習機からの流用で、実戦機には程遠いのが現状でF-3用にはすべて新設計する必要がある。国産第5世代戦闘機F-3開発の進捗度で言えば2~3%程度でしかない。

エンジン推力を15トンまで引き上げる「ハイパワースリムエンジン(HSE)」の開発に2018年までに成功すれば国産ステルス戦闘機F-3の開発に着手することとなる。

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