中国軍ステルス機J-20(殲-20)
中国軍は開発中のステルス機J-20(殲-20)を2016年11月1日に公開飛行させた。
従来から中国のステルス戦闘機J-20はアメリカ軍のステルス戦闘機に匹敵するステルス戦闘機と予想されてきた。
しかし、機体はかなり大きく、戦闘機とはとても思えない。空中格闘戦ではF-15Jにも劣る可能性がある。
ではなぜ、このような大型の戦闘爆撃機を作ったのか?
まず、現時点でアメリカ軍のステルス戦闘機はF-22、F-35だけ配備数も少ないため、中国軍としてはステルス戦闘機を配備する優先順位が低い。
そもそも、F-22に匹敵する戦闘機を中国が開発することは不可能であり、中国が開発できるのは飛行性能の劣るステルス爆撃機しか開発できない。
中国空軍の弱点
中国軍は第4世代機を約730機保有するが、自衛隊はF-15J(近代化改修機)+F-2の合計約190機しかなく、第4世代機では日本よりも配備数が多い。
中国軍のSu-30は単独でも自衛隊のF-15Jと互角以上の飛行性能を持ち、数的にも自衛隊の第4世代機戦闘機を圧倒している。
しかし、自衛隊はレーダー探知半径800kmのAWACS E-767を4機保有しているので、自衛隊のF-15Jは中国のSu-30のレーダー範囲外からアウトレンジ攻撃できる。
そのため、現時点で中国空軍は自衛隊に勝てない。
中国空軍が自衛隊に勝つためにはAWACS E-767を撃墜するしかない。中国のJ-20(殲20)の開発目標は自衛隊のAWACSを攻撃することだ。
自衛隊のAWACSのレーダー探知半径は800kmなので、J-20(殲20)がE-767を撃墜しようと思えば、マッハ1.8~マッハ2.0の高速飛行で航続距離800km×2=1,600kmは必要だ。
そのため大量の燃料を搭載する必要がありJ-20は大型化されたと考えられる。
PL-15空対空ミサイル
中国軍は射程400kmの長距離空対空ミサイル「PL-15」(霹靂ー15)の開発に成功したとされる。
このPL-15は、固体燃料ロケットとラムジェットエンジンで飛行し、速度はマッハ4、射程は400kmで、自立誘導型「打ちっ放し」のミサイルだ。
現在は、J-11(殲-11)戦闘機に搭載されている。
このPL-15空対空ミサイルをJ-20に搭載し、自衛隊のAWACSを400km手前からミサイル攻撃する戦略だ。
しかし、一般には、戦闘機のレーダー探知距離は150km~200kmなので、中国軍の戦闘機が自機のレーダーでAWACSを探知してミサイルを発射するとは思えない。
なんらかの情報でAWACSの位置を把握して、400km手前から空対空ミサイルを発射し、AWACSの照射するレーダーを逆探知して自立誘導すると思われる。
J-20の評価
J-20のエアインテイクからエンジンへのダクトは第4世代戦闘機と同じく、直線的になっている。また、機体前部にカナードと呼ばれる小さい翼が左右についている。
このことからJ-20のエンジンの推力が小さいことがわかる。
ステルス戦闘機、例えば日本のステルス実証機X-2のエアインテインクダクトはS型になっており、ステルス性が高い。しかし、S型ダクトにするとエンジン推力がでないという欠点がある。
中国のJ-20はエンジン推力が低いので、ステルス性の高いS型ダクト採用を諦めるしかなかったのだ。さらに前方のカナードもステルス的には不利だ。
これもJ-20のエンジン推力が小さいため、エンジン単独では高機能運動ができないため、やむ終えずカナードを付けたと考えられる。
したがって、現在のところJ-20は、使い物にならないが、一応、世界的にはステルス戦闘機を開発したというアピールのために未完成のままステルス戦闘機として公表したのだろう。
しかし、今後、中国が高推力エンジンの開発に成功すると、エアインテイクにS型ダクトを採用し、カナードを取り外してくる。
そうなれば、ステルス性能も向上し、日本にとっても脅威となりうる。
しかし、中国はロシア製のSu-30戦闘機を輸入していて、高性能ジェットエンジンを入手しているが、そのエンジンのコピーさえ作ることができない。
中国の技術力は、日本のステルス実証機X-2と比較しても5年~10年は遅れていし、今後、中国が高性能ジェットエンジンを開発できる目途は全くたっていない。
一部では、J-20の試作機の中はロシア製エンジンをそのまま流用したという情報もある。
中国軍の対自衛隊攻撃計画
中国軍は第4世代機を730機保有しており、戦闘機の数では自衛隊の第4世代機約190機を上回る。しかし、自衛隊はレーダー探知半径800kmのE-767(AWACS)を保有しており、総合力では自衛隊の方が有利だ。
言い換えれば、自衛隊のE-767を撃墜すると中国が有利になる。そこで中国はステルス戦闘爆撃機J-20を開発し、自衛隊のE-767を撃墜する計画を立てた。
中国軍はSu-30を73機保有しているが、自衛隊那覇基地にはF-15Jが40機しかない。まず、中国大陸からSu-30 20機が尖閣列島の領空侵入し、自衛隊那覇基地からF-15Jをおびき寄せる。
同時に、自衛隊は浜松基地からE-767をスクランブル発進するが、那覇基地のF-15Jは尖閣列島で中国機に対応しており、E-767の護衛が手薄になる。そこを戦闘機の護衛のついた中国空軍のJ-20戦闘爆撃機が攻撃をしかけてくるというシナリオだ。
J-20の航続距離は増槽を使用すれば4,000km以上となる。また、ある程度のステルス性能を持つので、自衛隊のE-767が撃墜される可能性がある。
4機しかないE-767でやっと24時間運用している状態なので、1機でも失うと自衛隊の防空能力は著しく落ちる。
自衛隊がAWACSを失うとSu-30とF-15Jの空戦能力はほとんど同じなので、第4世代機を730機保有する中国軍が有利になる。
那覇基地のE-2C
自衛隊は13機の早期警戒機E-2Cを保有しており、那覇基地603飛行隊に4機が配備されている。
E-2Cのレーダー探知半径は460kmでAWACS E-767の800kmよりも短く、中国軍のJ-20で撃墜される可能性はより高い。