2017年4月、在韓米軍は韓国南部の慶尚北道・星州(ソンジュ)に高高度迎撃ミサイル(THAAD)を配備した。
しかし、THAADの射程は200kmだが、配備された慶尚北道・星州からソウルまでは220kmの距離がある。
つまり、ソウルは韓国・星州に配備されたTHAADの射程圏外となっている。
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THAADの構成(韓国配備)
THAADの発射台(ランチャー)は10連装という情報もある。しかし、実際に韓国に配備されたTHAADの写真を見ると8連装だった。
レーダー | Xバンドレーダー(AN/TRY-2レーダー) |
火器管制ユニット | TFCC |
移動式発射台(ランチャー) | 1ユニットに6台の移動式発射台を配備 |
ミサイル(インターセプター) | 1つの発射台に8発×6台=48発 |
THAADの性能(韓国配備)
名称 | THAAD(Terminal High Altitude Area Defense missile) |
射程 | 200km |
高度 | 40km~150km |
ミサイル本数(1ユニット) | 移動式発射台(8発)×6台=48発 |
ミサイル単価 | 10億円~15億円 |
ミステム価格 | 1,000億円~1,500億円 |
AN/TRY-2レーダー(探知距離)
終末配備(Terminal-Based) TBRモード |
600km~800km |
AN/TRY-2レーダー(探知距離)
前方配備(Forward-Based) FBRモード |
1,000km~2,000km |
星州から半径200kmの防衛圏内
烏山(米空軍基地)、平沢(在韓司令部が移転予定)、鶏竜台(韓国陸海空軍本部)は星州から半径200kmの範囲内にありTHAADの防衛範囲に入る。
なぜ、韓国南部にTHAADを配備したのか?
中国は韓国のTHAAD配備に反対している。それは、THAADのXバンドレーダーの探知距離が1,000km~2,000kmとされるため、中国内部の情報が米軍に流れることを警戒しているからだ。
そのため、韓国としては、中国に配慮して、中国からできるだけ遠い韓国南部に配備したい。
その一方、米軍基地を防衛できる地点なければならない。そのぎりぎりの地点が韓国南部の星州だったと思われる。
ソウルはPAC3で防衛
ソウルについては、PAC3で防衛することになっている。
そもそも、THAADの高度は40km~150kmなので、40km以下の高度では北朝鮮のミサイルを迎撃できない。
ソウルは北朝鮮に近く、もし北朝鮮からミサイルが発射されれば高度40km以下の弾道となるため、PAC-3の方が迎撃に適している。
THAADの射程は本当に200kmなのか?
THAADの射程は200kmと言われるで星州からソウルまでは220kmの距離があるので、ソウルは射程外になる。
しかし、THAADの実際の射程距離が240kmくらいあって、ソウルもTHAADで防衛できるの可能性もある。
このあたりは、軍事機密になるので誰にも分らない。
費用負担
韓国配備のTHAADの費用は米軍が負担している。
追加配備はあるのか?
韓国・星州に配備されたTHAADではソウルを防衛できないことから、よりソウルに近い場所にTHAADを追加配備するのではないかという思惑が中国や北朝鮮にあるようだ。
追加配備について
THAADは本来、発射台(ランチャー)6基で構成される。2017年4月にTHAADが配備されたのは2基だけだった。その後、4基を2017年9月に「追加配備」した。
追加配備というよりは、本来のTHAAD1ユニットを配備完了したということだろう。