2016年2月17日、日本政府は国籍不明の潜水艦が対馬沖の日本の接続水域を潜航して航行したと発表した。中国潜水艦と思われる。
なぜ、中国の潜水艦が日本海周辺に展開しているのか?
3月7日から4月30日までの米韓軍事演習「キーリゾルフ」と野外機動訓練「フォールイーグル」の情報収集が中国の目的だが、それだけではない。
南シナ海での中国の軍事施設の完成の目途が立ったことが大きい。つまり、中国は南シナ海の軍事拠点化を終えた後、日本海に潜水艦を展開する計画と思われる。
というのは、中国は南シナ海に弾道ミサイル搭載潜水艦(SSBN)を展開しているが、その射程は8,000kmでしかない。南シナ海から8,000kmではグアムの米軍基地、在日米軍基地しか攻撃できない。アメリカ本土には全く届かない。
つまり、南シナ海の中国の弾道ミサイル搭載潜水艦(SSBN)は米国本土に対しては核抑止力となっていない。
中国のSLBMの射程延長は開発難航
中国の潜水艦発射型ミサイル(SLBM)の射程延長は難航している。陸上配備の弾道ミサイルでは、ロケットエンジンを大型化すれば射程延長できる。
しかし、潜水艦発射型ミサイル(SLBM)は潜水艦に搭載するためミサイル本体を小型化しないといけない。中国はその小型化に難航している。
日本海から8,000kmの射程で到達できる地点
中国は当面、SLBMの射程延長ができないので、潜水艦自体を移動させるしかない。それが日本海だ。
日本海から5,500kmでアラスカまで到達し、8,000kmの射程ならハワイまで到達する。アメリカ本土西海岸までなら10,000kmの距離だ。
国別潜水艦保有数
国名 | 保有数 |
北朝鮮 | 78隻 |
米国 | 72隻 |
中国 | 69隻 |
ロシア | 63隻 |
イラン | 31隻 |
インド | 17隻 |
日本 | 16隻 |
イスラエル | 14隻 |
トルコ | 14隻 |
韓国 | 14隻 |
まとめ&補足
中国は南シナ海の軍事拠点化に一応の目途がついたため、次に日本海を狙っている。それは、米国本土により近い日本海に展開することで中国の核抑止力を強化する狙いがある。
日本の自衛隊は基本的に防空地機別圏の圏外には展開しない。したがって中国は日本海の北半分の海域に潜水艦を容易に展開できる。中国の弾道ミサイル搭載潜水艦(SSBN)が新たな脅威となってくる。